トップページ ≫ 外交評論家 加瀬英明 論集 ≫ 国防予算を60%増やし、ソ連を崩壊させたレーガン大統領
外交評論家 加瀬英明 論集
だが、カーター政権のあとに、レーガン政権が登場すると、アメリカはまるで不死鳥のように甦った。アメリカ国民が、”弱いアメリカ“であることに、飽きたのだった。アメリカは、自信を回復した。
なかでも、レーガン大統領は、果敢に外へ向かって打って出たことによって、特筆されよう。
レーガンは、1981年にホワイトハウスの主人公となると、側近に対してソ連を「悪の帝国」と呼んで、「ウイ・ウイン・アンド・ゼイ・ルーズ」(われらが勝つ。ヤツらが負ける)と、いった。
そして、「自分は俳優として与えられた役を演じる時に、その男の立場になって、物事を見ることを学んだ」といって、ソ連の指導者たちが、いったい何を企んでいるのか考えようと、促した。
レーガンは公の場でも、ソ連を指して「悪の帝国」と呼んだ。
レーガンの対ソ戦略は、一口でいえば、ソ連の意志力を挫くことだった。国防総省が新年度予算の要求案を持ってくると、「ノット・ビッグ・イナフ(少なすぎる)」といって、斥けた。「われわれがもっと多く使えることを示すことによって、やつらに尻餅をつかせるのだ」と、笑い飛ばした。
レーガン政権は、1981年からはじめの3年間で、国防予算を60%も増した。
私はレーガン政権のケネス・エードルマン軍備管理庁長官と、フォード政権時代から親しかったが、「あまりにも突飛なやり口だ」といって、こぼしていた。
レーガンは歴代の大統領のなかで、ケネディをも含めて、誰よりも国防支出を大幅に増大させた。ソ連は結局、軍拡競争の重荷に耐えられずに、解体した。
そして、アメリカはブッシュ(父)政権のもとで、天空の頂点まで舞い上がった。
日本経済が目を見張るような高度成長を遂げるようになると、アメリカでは、日本経済がほどなく、アメリカを追い越すことになると、まことしやかに説かれた。
私はハーバード大学のエズラ・ボーゲル教授の知遇を得たが、ボーゲル教授は1979年に、日本でもベストセラーになった著書『ジャパン・アズ・ナンバーワン』で、「日本は1990年までに、アメリカを追い越す」と、予測した。
ところが、1990年にアメリカを凌ぐはずだった日本のバブル経済が、90年代に入って、すぐに破裂した。「ボーゲル」はドイツ語で、天高く昇る鳥を意味している。
1988年には、経済研究所の所長で、著名な経済専門家のクライド・プレストビッツが、「アメリカの世紀を終わった。アメリカは、日本の植民地となりつつある」と、論じた。
私も同業者だから、他山の石としなければなるまい。予測する時には、慎重にならなければならない。
1994年に、オランダのジャーナリストで、日本特派員だった、カレル・バン・ウォルフレン教授の日本について著した本が発刊されたが、日本でもベストセラーとなった。
私も読んだが、管直人と小沢一郎の二人を「日本の偉大な政治家」と手放しで称賛して、日本についてまったく無知であることを、曝け出していた。
アメリカは
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