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新着記事
- 遠くに『風立ちぬ』の世界を見る(2014年02月11日)
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2月8日は全国的に雪と風による大荒れの天気で、埼玉県でも積雪が熊谷市で43cm、秩父市で48cmになるなど記録的な大雪に見舞われた。翌日は晴れて、冠雪した遠くの山々がまぶしいくらいだった。住んでいる集合住宅が西向きなので、秩父、多摩の連峰は眼前に迫るような感じだ。視線を右にずらしていくと、まっ白な浅間山の威容が目を引く。他の山に比べてはるかに遠くだが、標高…
- 許すことこそ(2014年01月21日)
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どうしてもわからない言葉があった。 10年前頃のある立候補者のポスターのキャッチに「許さない!」と書かれていた。 政治のことだから仕方ないかとはじめはあまり考えなかった。しかし、そのポスターの主があまりにも狭量な方、というよりその言動が人間としての寛容さに欠けていたので、やはり「許さない」は、どこかで血のついた槍の穂先のように冷酷な言葉におもえて辛かった…
- プロの定義と政治家(2013年12月29日)
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長い間、私は「プロとは何か?」をテーマとして追い求めてきた。それは、政治家という種族があまりにもプロという概念から程遠いところでうごめいている実態を知りつくしてきたからだ。 まず、政治に対する信念の欠如、政治とは何かという基本的哲学の欠如、さらに人間社会への洞察力の乏しさが如何ともし難いことだからだ。 この埼玉で新しく国会議員に就任した人達も、一体自分は…
- 柚子の話(2013年12月12日)
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私の50年来の知己の裏山には、柚がたわわになっている。みな無農薬で大ぶり。 人様に差し上げると決まって喜ばれる。風呂にも安心して入れられる。風邪もひきにくい。ジャムもこれまた美味。その他いろいろな調理の方法が有って喜ばれるのだろう。 その50年来の知己は、かつての名映画監督松山善三、高峰秀子夫妻とも親交があって、何十年も柚を通しての交際だった。御二人はこ…
- 文章を書くという事(2013年12月08日)
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文章を書く、なかなか難儀です。 まず出だしの一言が決まらない。また頭の中には様々なイメージが湧いてきていても、それをうまくまとめ切れない。 大なり小なり多くの方々が同じような経験をお持ちの事でしょう。 しまいにはおっくうになってしまい止めてしまった事すらあるかもしれません。 それでも尚、書く事はとても素晴らしいものです。 泉のように湧き出るアイ…
- 荒城の月と元政治家(2013年12月05日)
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私と多少なりとも親交があった政治家が居を退ちのいた。政治家といっても議員という肩書が有ったからあえて政治家と書いたまでだ。と東北出身の彼は東北人独特の人間味があった。 しかし何処かに東北の寂しい空のようなものが、いつも身体や言葉使いから消えなかった。人を信じやすかったが誰とも長くは交友が続かなかった。田舎出の学技秀才だった彼はいつも腹の底では人を小馬鹿に…
- 枯葉と手紙(2013年11月13日)
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往年の名ジャズシンガー〝ナッキンコール〟が枯葉を唄った時、私は日本の詩人達が晩秋を書きつづったどの詩よりも深い哀愁をおぼえた。というより人生の哀感を覚えたことはなかった。 そんな枯葉の季節を味わっている時、私宛に一通の手紙が届いた。純白の封筒に墨のように黒いインクで私の宛名が書かれ、裏には几帳面な字で国崎千恵子とか書れていた。少なくとも私は胸のときめきを抑…
- 私の横浜 そして大観(2013年10月18日)
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ずっと以前から、横山大観という画家に興味をもっていた。 明治元年生まれの大観はれっきとした水戸藩士の子として生まれたが、その後、横山家の養子になった。私は何よりもこの高名にして偉大な画家の画風に憧れをもち続けてきた。そこにはやはり、本物の東洋が表現されているからだろうか。どこかで人間を大きく赦している画風なのだ。怒りの表現を隠さない「屈原」にしても、怒りの…
- 交流の妙(2013年10月08日)
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彼と初めての出会いは彼の親友の主催するパーティーだった。色白の端正なマスクをして一人一人のスピーチを聞きながら、よく頷いている。コミュニケーション術の一つに3回のうち1回は頷けというのがあって、彼はまさしくそれを実践しているのだ。簡単なようで修行をつまなければなかなかできるものではない。まして、そこに少しでもわざとらしさがあったら嫌味だ。彼にはそれがなかった…
- 般若面と山(2013年10月07日)
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正面の壁に、よく見かける派手な富士山がゆれあがる湯気の向こうにそびえていた。夕方のことで五メートル四方以上もある湯船は満員の盛況。ところは上野駅に程近い銭湯。あまり長湯をしない習慣の俺は、お湯から出て三つだけ空いていた「カラン」の一番左にあった洗い場用のちっちゃな木椅子に腰を下ろし、山で10日もためてしまった垢を落とし始めた。そこへシャッターを下ろしてきた…