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コラム …男の珈琲タイム
どうしてもわからない言葉があった。
10年前頃のある立候補者のポスターのキャッチに「許さない!」と書かれていた。
政治のことだから仕方ないかとはじめはあまり考えなかった。しかし、そのポスターの主があまりにも狭量な方、というよりその言動が人間としての寛容さに欠けていたので、やはり「許さない」は、どこかで血のついた槍の穂先のように冷酷な言葉におもえて辛かった。私は人間の所業の中で許すということが一番難しく、それ故に一番美しいものだと確信を持つようになった。
相手をいつまでも恨み、認めなかったら、相手もやはり同じ態度ででてくるだろう。そして、いつのまにか相手の掌中に自分がはめられ、そこで自己の成長は停止してしまうのではないかと思う。自己主張とか、自分の思想なんていうものは案外もろくて、単なる虚構のようなものなのかもしれない。その証拠に、自分自身を清らかな幼子のように素直な気持ちでいると、いままで見えなかったものが恥ずかしくなるくらい鮮明になって頭脳のスクリーンに映し出されてくるから嬉しい。支え合い、許し合うのは人間に与えられた特権とまで思っている昨今だ。
(鹿島 修太)
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