トップページ ≫ 社会 ≫ 県立小児医療センター予算審議にみられる議会の見識
社会
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3月26日の埼玉県議会において、移設が予定されている県立小児医療センターの工事費について、増額分55億円が削除された修正予算案が自民などの賛成多数で可決、成立した。当初上田知事は拒否権にあたる地方自治法の「再議」を求める構えであったが、知事と議会の間での調整の結果、4月に改めて臨時議会を開き、増額分が入った当初原案を知事が直接議会に説明し、承認をもらう形になるようだ。
県立小児医療センターの移設工事については、全国的な建設費高騰により一般競争入札を8回実施したものの落札に至らなかった。そこで55億円増額して随意契約を結んだ補正予算案が提出されていた。
政治の本質的な役割は住民の生活を守ることだ。昨年末からの経済状況を鑑みれば、建設費用の高騰というのは避けられない現実であり、それをうけていかに早く適正に医療サービスを住民に提供するかにむけて動くべきである。確かに議会のチェック機能は必要なものであるが、議会の中で十分な説明を求めるのが議会制民主主義であり、なによりも与えられた現実の中で住民の満足する着地点を見出すことが議会人の責任ではなかろうか。そこから考えると過去落札にいたらなかった金額に戻した修正案を可決した自民県議団は、経済を知らないかそれとも政治家の責任を放棄したかのどちらかと言われてもしかたがない。
今回は議長あっせんもあり約1ヶ月の遅れで可決されることになったが、本来は先月起工式が行われているはずだった。地方自治の2元代表制を機能させるためには、議会にも相応の見識が求められる。
(林 智守)
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