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社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
さいたま市では市議会の広報紙「ロクマル」が各家庭に配布されている。ロクマルとは数字の60のことで、市議会議員数から付けた紙名だという。今回のは104号だが、手に取って読んだのは初めてだ。市議会は定例総会を年4回開催し、直近の6月定例会(6月11日~7月4日)のレポートが掲載されている。身近な地域の問題が取り上げられていて、参考になることも多い。
一方で、違和感を抱かせるような議論もある。日本維新の会所属の議員はいきなり「自虐史感(原文のママ)の強い記載が目立つ教科書を用いる歴史教育について、教科書採択の狙いや経緯、選定基準、今後の見直し方針を伺う」との質問を提出した。教科書出版社は執筆者の人選には相当な配慮をしているのは当然で、歴史学者たちも地道な調査・研究で判明した新たな事実を盛り込んでいる。先の大戦についても、当時の政策決定過程が明らかになり、批判的に記述されることもあるはずだ。それを自虐史観と決め付けるのでは「歴史から学ぶ」どころか暴論がまかり通ることになる。
以前から地元住民の意見が分かれていた(仮称)次世代型スポーツ施設についても、一般質問という形で取り上げられた。中央区の与野中央公園に5000人収容規模のアリーナ新設をめぐる問題だ。すぐそばにさいたまスーパーアリーナという国内最大級の施設があるのに、そこと同内容のスポーツ興行主体の施設を造る計画の無謀性は2年前に当欄でも指摘した。さいたま市のスポーツ文化局が提出した企画書も説得力の低いものだった。
この事業は民間資金導入で運営は民間企業が行うという形で進められ、財政負担は52億円とされたが、いつの間にかそれが130億円に膨れ上がった。事業者の競争入札では、入札参加者から辞退届が提出され、入札が中止に追い込まれた。企画案自体がずさんだったので当然の結果かもしれない。
住民の分断を招く無茶な計画に莫大な公費をつぎ込むのが避けられたのは幸いだが、こんな馬鹿げた案を提出した責任は徹底追及してほしい。
山田洋
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