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県議会・市議会 視座「インダストリアルツーリズムの先進県に向けて」~県議会より
2016年12月28日
埼玉県では2016年度から外国人観光客の誘致に向けた、インダストリアルツーリズム(産業観光)に取り組み始め、2020年の東京オリンピック開催に向けて、整備を急ぐ必要がある。観光政策の面だけではなく、ビジネスに発展させる産業政策の側面を持ち合わせている新事業。企業が、観光への対応としてだけでなく、新たなビジネスチャンスの機会と前向きにとらえてもらうことが成功の鍵だ。
インダストリアルツーリズム事業の成功に向けて、観光政策と産業政策のシナジー効果を生むサイクルの確立について、杉島理一郎議員(自民)が質問し、産業労働部長が答えた。
●杉島理一郎議員(自民)からの質問
① インダストリアルツーリズム促進事業補助金は、個別企業向けに多言語表記や通訳等の整備補助となっているが、産業集積地一帯での整備、ショッピングや観光地と隣接した工場との一体的な取り組みも必要。工業団地単位や業界団体単位で共有できる設備の整備を促すよう、グループ化補助金のスキームを使った補助金も創設するべきではないか。
② 外国人観光客と受入企業がビジネス関係を持つための支援や、観光客を装い、技術等を盗むといったことから企業を守るための支援が必要と考えるが、県としてできることは何か。
③ 成田、羽田と繋がる道路、鉄道網を活かした外国人観光客の誘致について、JRのデスティネーションキャンペーンやNEXCO東日本のドラ割など民間との連携も含め、2020年までの具体的な取り組みはどのようなことか。
魅力ある企業の工場新設は、産業政策だけでなく観光政策としても推進できるという観点から、圏央道沿線の産業基盤整備を倍の力とスピードで進めてほしい。
●産業労働部長の回答
① 県内には素晴らしい技術を持つ企業が多数あり、地域資源を徹底活用して観光客の増加に結び付けることは大変重要。
工場見学は外国人観光客からのニーズが高いので、外国人の受入可能企業と周辺観光地や食を紹介するインダストリアルツーリズム用のガイドブックやホームページを今年度作成した。
また、外国人観光客の受入体制を整備する県内企業対象に、補助金による支援を実施している。
産業集積地での外国人観光客の受け入れは、多様なニーズに応えられるので、より魅力が増すものと考える。
来年度に向けて、企業単独だけでなく工業団地単位、業界団体単位での受入体制を整備する補助についても検討する。
② インダストリアルツーリズムの取り組みにより、県内企業の魅力に触れる機会が増え、ビジネスに発展することも期待されるが、商習慣や法制度が異なるため、取引を行う上で課題が多いのが現状。県産業振興公社の海外ビジネスに精通した職員が、外国人観光客と受入企業の間に立って相談に応じている。
インダストリアルツーリズムは、県内企業の善意で成り立っているので、見学時のルールを徹底している。具体的には、ガイドブックやホームページで禁止事項について多言語説明やイラスト表示。
今後、受入企業の意見も聞きながら、必要に応じてルールの見直しを行う。
ビジネスチャンスをのがさず、しっかり実を結ぶよう支援をしていきたい。
③ 平成27(2015)年2月17日にNEXCO東日本と包括的連携協定を締結。これを契機に、東京湾アクアライン「海ほたる」他関越自動車道、圏央道、常磐道、東名自動車道の各サービスエリアなどでNEXCO東日本と共同で観光キャンペーンを実施。
高速道路が乗り放題になる「ドラ割」については、埼玉県への周遊コースでの実施を働きかけていく。
圏央道は、今年度中に境古河インターチェンジからつくば中央インターチェンジまでが開通する予定。成田空港から高速道路で結ぶ埼玉県までの所要時間が大幅短縮するため、外国人観光客の誘致促進も期待。
このため、訪日旅行を取り扱う旅行会社に対し、川越を散策して秩父地域に宿泊する「SAITAMAオプラチナルート」を売り込むなどの営業活動もしている。
JR東日本とは、アニメの舞台の地を鉄道で周遊する「鉄道でめぐる!埼玉聖地横断ラリー」の主催者に加わってもらうなどの連携を深めている。
外国人観光客対象のジャパン・レール・パスは、新幹線を含めたJRグループ前線が乗り放題で、大変人気がある。当面は、新幹線沿線自治体と連携し、このパスを活用した広域周遊ルートについて、海外の旅行会社やテレビ・雑誌などのメディアを招いて売り込む予定。
このほか、台湾に設置した埼玉国際観光コンシェルジュを活用した訪日教育旅行の拡大、アニメ事業の全県展開など、多彩な観光資源の徹底活用を続ける。
今後もNEXCO東日本やURをはじめとする鉄道事業者との連携強化を図り、外国人観光客の誘致に積極的に取り組んでいく。
岡 アヤコ
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