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文芸広場
俳句・詩・小説・エッセイ等あなたの想いや作品をお寄せください。
新着記事
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- 今宵は満月(2020年10月17日)
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明るい夜は生きものが不安になる 岩穴に差し込む月光に狼は遠吠えをする 昔 月の夜は夜通し火を灯し酒宴の商家もあった ある地域では縁側にススキを飾りダンゴや饅頭を供えた ハロウィンは「トリック オア トリート!」 子供達が(お菓子をくれないと悪戯するぞ)と仮面をつけて家々を廻る 日本の古い月の祭りは供え物を盗る子供達を物陰から大人達は笑って見ていた…
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- カーテン・コール(2020年10月03日)
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目的が結果にあるのなら 生まれたのは死ぬ為である いやならはじめから生まれなければよい 生き物の目的は何か 何かを得る為とか 何かになる為であると思う では苦痛ばかりの人やその他大勢にはどんな意味があるのか? 寒風の中で枯木立は考えている 芽が出る日/葉が茂る日/花が咲く日/実が稔る日のことを 目的は過程にあるのかもしれない プロセスが全…
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- 留守の家(2020年09月16日)
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人が住まなくなった家があります 広い敷地に家が三棟もあり 家族が住んでいましたが一人去り二人去り 今は最後の一人が老人施設に入りほぼ留守です 郵便箱は口を開けたまま 時々木の葉や花びらが舞い込みます 広い庭には季節毎に花が咲きます 植物だけは何処にも行かずお留守番です ひとしきり梅が咲き、散りました 今は躑躅が真っ赤に咲いています 土の庭…
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- 旅の途中で(2020年08月30日)
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人はみな旅をしている 旅費のない人も 病気で寝ている人も 皆地球という地面ごと動く宇宙船に乗っている この乗りものの速度は新幹線より早い 地球は自転速度が時速1600㎞ 公転速度は11万㎞ 太陽系が86万㎞ そして銀河そのものも200万㎞で移動しているという 巨大系になればなる程早くなるのは何故だろう みな何かに追われているのだ 銀河鉄道の…
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- もう一つの浦島太郎(2020年08月13日)
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太郎が人語を話す亀に乗ると 太郎の周囲は不思議なバリアが出来ていた 波の下は巨大な水族館のようであった 亀は太郎を珊瑚の林の中の竜宮に案内した 太郎の入ったシャボン玉のようなバリアの回りには さまざまな魚が不思議そうに近づいて来ては消えた 魚達は人間を傍で見るのは初めて・・・ 噂を聞いて集まって来ているとのことであった 沈没船の中にあったが固…
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- 順位(2020年07月27日)
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ヨーイ ドン で 駆け出す前のこと 一等賞を狙っている子がいます ビリにはならないと思っている子がいます ビリかも・・・とはじめから気後れしている子がいます 順位はまもなく分かります 幼稚園 小学校 中学校 高校 大学 それから 競争の種目はかけっこだけではありません 成績は良くはないが腕力にまさる者がいます 姿形が良い者がいます 家…
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- かくれんぼ(2020年07月07日)
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かくれんぼの楽しみは 居なくなった者が必ず見つかることです 木の下の履き物をみて「見つけた」と叫ぶ鬼 木の上の笑い声 かくれんぼは子供達の遊びのようだが この世界はみなかくれんぼばかり 昨日まで居た者がいなくなり さっきまで在ったものがなくなっている 真昼の空から太陽が消え星が現れることがある 極北の地では四ヶ月も太陽が出ない季節がある…
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- 理由(2020年06月22日)
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〈この世は何のためにあるのか〉 〈自分がこの世にある理由は何か〉 分からない永遠などと云う言葉を外し 〈ここだけ〉〈いまだけ〉と限れば そんな疑問が消えて様々な世界が広がってくる 恋にまだ陰りがない時のベンチに座っている二人の時 良い音楽を聴いている時 思わず見上げた美しい虹や夕焼け 一人では勿体ないと屋上に登って見る花火 親しいものと美味…
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- 物語り(2020年06月09日)
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人は物語りに生きている 王子や王女である物語り 村人や通行人である物語り 曲がったことが大嫌いだと叫ぶ人 川も樹木も 魚も獣も美人画も 自然はみな曲がったものばかりなのに… オレみたいなバカは という人もいる 「その通り」では悲しい 私は自分の人生が面白くないので 他人のドラマを見て楽しむ 苦難の道でも最後に救われる物語りがいい マッチ…
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- 夢の国(2020年05月27日)
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寝ている時 心は何処へいくのだろう 繋がれている犬の夢は山野を駆け巡る 身体を抜け出した心は 鎖の外れた犬のように 眠りが深まると目覚める 夢の中では皆超能力者になっている 月の夜は屋根に登り 雲を呼んで飛び乗る 行く先は月の浜辺 満月の夜の公園もいい そこでは親しいものが声を掛けてくる 「おまえ 歩けないのじゃなかったか」 「病気…