さいたま市の特別秘書の平田氏が突然辞職した。
　その真相はいまだ定かではない。一説によるとさいたま市議会とのあつれきが原因とも言われているが、これまた定かではない。平凡な見方をすれば、親分の相川市長がまた戦うのだから、自分も野に下って私設秘書として奉公をするということもある。しかし、もし相川氏が当選すれば再び特別秘書に戻るはずだから、論理的には矛盾する。選挙というもっとも政治色濃厚な場で働いたものが再び市役所にもどれるとすれば、逆にいまさら辞めることもあるまい。特別秘書の立場で堂々と政治をやればよい。そして、選挙をやればよいのではないか。誰も文句を言うまい。とすれば、やはり議会との関係悪化が原因といわれても仕方あるまい。

　ひるがえってこの特別秘書とは何なのだろうか。平易に表現すれば、知事や市長の特別の任務を託された秘書役のことだ。特別の秘書役とは政治的任務ということだろう。だとすれば、特別秘書に要求される能力は何はさておき”政治力”の筈だ。政治力とは大人の技量のことだ。上手に、上手に、敵と味方をつなぎとめていくことが大事だ。ところが、自分イコール知事や市長となってしまったとたん、嫉妬と反撃の的になってしまうことは自明の理だ。だから頭は低く脳は高くなのだが、どうやらこれが逆さまになっている傾向が強い。
　また、虎の威を借りる狐であってはならない。特別秘書のもとにまたまた数人の秘書がいて、”電話は直接かけないでほしい。必ず秘書を通して”などと威丈高になった姿を見せられては、人心なぞすぐにすっとんでしまうことは自明の理だ。

　何も県や政令都市でなくとも特別秘書がいたほうが市長はおもいきった手腕を発揮できる筈だ。それほどこの職は重要なのだ。だからこそ、人間的にすぐれ、政治感覚の良き人材を任命することが大事だ。
　仕事は人事で7割が決まる。
　人事、魔多しを肝に銘ずべきだ。