トップページ ≫ 社会 ≫ 島耕作、50年目の慶事が台無しに
社会
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ネット媒体に関わる私たちにも無縁ではない話だが、有力な青年漫画誌でとんだ取材ミスが発覚した。講談社発行の「モーニング」10月31日号で、人気作品『社外取締役 島耕作』の中に、沖縄に行った主人公が現地の女性から米軍基地移転工事について説明されるシーンがある。「抗議する側もアルバイトでやっている人がたくさんいますよ。私も1日いくらで雇われたことがたくさんありました」というのだ。
これと同じような話が2017年に東京MXテレビ『ニュース女子』で放送され、明確な根拠のない噂話をそのまま流したとして問題視され、放送倫理検証委員会から「重大な放送倫理違反があった」と指摘された。裁判にもなったが、番組制作者が敗訴したのだ。弘兼氏はMXの件は知らなかったという。
「モーニング」公式サイトに編集部と弘兼氏の連名でお詫びが掲載された。沖縄での取材には編集者も同行していたこともその中に記されている。これには少なからず驚いた。日本の米軍基地の大半が存在し、非常にデリケートな感情が交錯する沖縄について、作者も編集者も無頓着だったと言える。さらに最終的な原稿チェックは編集長もしくはそれに準ずる人がしているはずだ。
かなり前に漫画の原稿も校閲部が目を通すようになったと聞く。文字の間違いだけでなく、今回のようなミスを防ぐ狙いがあったはずだ。
そのような厳しいチェック体制の中でも起きた「島耕作問題」は当事者たちにとっても深刻だ。折しもこの号は「弘兼憲史画業50周年」として本人へのインタビューを巻頭に載せた特別号だったのだ。同じ発行元の「週刊現代」でもグラビア6ページを使って弘兼氏の功績を讃えている。
課長に始まり、部長、取締役、常務、専務、社長、会長、相談役と出世してきた島耕作シリーズも、社外取締役になって思わぬ難題に直面した形だ。
山田洋
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