社会
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7月7日の東京都知事選挙の最大の話題は、広島県の安芸高田市長だった石丸伸二氏(41歳)が166万票近くを獲得し、立憲民主党や共産党が支援した前参院議員の蓮舫氏を抑えて2位に躍り出たことだった。動画投稿サイトなどを使った巧みなネット戦略で選挙期間中にフォロワー数を急速に伸ばしたからだ。ネット経由で石丸氏が発する情報に若年層(18~29歳)を中心とした無党派層が反応した。従来の選挙戦略と違う手法に既存政党は警戒感を露にしている。
一般的には無名だったので、選挙前の報道は石丸氏について突っ込んだものは少なかった。ところが、選挙後のテレビ出演から雲行きが変わってきた。他の出演者からの質問にまともに答えず、論点ずらしや逆質問に終始し、視聴者の反発を招いた。
都知事選と同じ日に、石丸氏が任期満了前に辞任した安芸高田市長の後任を決める選挙も行われ、石丸市政の転換を訴えた無所属新顔が当選し、地元での不人気が露呈した。さらに翌8日には最高裁にて、前回の安芸高田市長選に際しての選挙ポスター印刷代未払いをめぐる訴訟で、石丸氏側の敗訴が確定した。
こうなると都知事選のネット戦略そのものについても疑問が投げかけられ始めた。「切り抜き動画」が功を奏したと言われるが、それは安芸高田市の公式You Tubeチャンネルの映像から石丸氏の過激な発言を切り抜き、つなぎ合わせ、センセーショナルなタイトルやテロップを付けてバラエティ番組のように編集した動画のことだ。内容より刺激の強さを狙っているようだ。「政治屋の一掃」と叫ぶが、格差の是正とか平等な社会というリベラル派の主張とは嚙み合わない。
まだまだ石丸氏へのマイナス報道は続くだろうが、それを一掃するような彼の反論は出まい。それよりも、なぜこのような候補が多くの票を集めたのか、今の若者たちの心の闇が問題視されそうだ。
山田洋