社会
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ずいぶん昔になるが、正義感の塊のような男が墓地で自殺して果てた。しかも自らの手でガソリンを体にまき散らし火をつけた。焼身自殺だった。この男は弁護士志望だったが、3回司法試験に挑戦し、実らず断念した。正義感が強過ぎて、自らの正義感を「街」の革命に賭けた。埼玉県西のA市の市義に挑戦し、高位で当選した。鋭い論陣をはった。しかし、海千山千の地方政治家には受け入れられなかった。そして失望、絶望の果てに自らの命を断ってしまったのだ。当時の市議会にはYというボスがいて、常に捜査の対象になっていたが、いつもうまくすり抜けては、自らの懐を肥やしていた。Yの巧妙さに正義はまったく通じなかった。ここにきて、3年前もF市の真面目な市議会議員が選挙を前にして、自殺した。真面目で、生業もうまくいっていた。しかし真面目すぎて、議会の空気には馴染めなかったのだと周囲は冷ややかに囁いていた。そして今年も、しかも数日前に将来を嘱望されていた若きエリート議員が急に辞職した。同じF市だ。そんななかで大物といわれる議会のボスはいつも眠るふりをして、生きのびている。このF市に関係深い現職の県議会議員も様々の疑惑の中でよく眠っている。現実はいつも不条理に満ちている。
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