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男の珈琲タイム
男のホットひと息コラム
新着記事
- 本当の春(2017年02月09日)
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立春とは名ばかりで凍てつくような氷雨が街の舗道を濡らし続けている。晴れれば冷たい北風が吹きすさぶ。世の中のことは、すべて同じだ。到達するまでには厳しい試練に耐えなければならないのだ。そのうち梅が咲く。梅の香は試練に耐えぬいたからこそあの独特の香りを匂わすのだ。 「武蔵野の雪となりたる梅見かな」という句があった。梅の季節にはまだ雪があって冬をひきずっている。…
- 103歳の夫人からの年賀状(2017年01月10日)
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今年も103歳の御婦人から年賀状をいただいた。今年もと書いたのは、昨年も一昨年も101歳、102歳とそれぞれの年に、この御婦人から年賀状をいただいているからだ。 聡明で、優雅なこの御婦人は、ファッション関係の実業家だった。女の手一人で数百人の社員を抱えていた。健康には昔から気をつけていた。かなり高額の健康器具を使ってトレーニングを欠かさなかったし、よく歩い…
- 鬼の平蔵が教えてくれるもの(2017年01月05日)
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池波正太郎のテーマはたったひとつ。「情」だ。そして義理と恩が続き次に判断、構築、引力といき、トロッコができる。 鬼の平蔵は実在の人物だったが故に説得力がある。情と涙と理が重なっているリーダーにのみ人はあつまりついてくる。今の教育のまちがっていることの1つに、偏差値を求めるがあまりに冷たい秀才を世に送りだしているきらいがある。生きていくなかで割りきらなければ…
- 年の瀬雑感(2016年12月27日)
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いつの年もいつの世も必ずいろんな事があってそして流れ去っていく。私事だが最愛の身内を失った。あまりにも突然の別れだったのでしばらくは実感がなかったが、じわじわと深い悲しみと喪失感がおしよせてきた。友も逝ってしまった。会者定離の哲理を思い知らされた。政治の世界でも相変わらぬ権力闘争があって、アメリカでもおもいがけぬ人が勝利をおさめた。韓国でも権力者がいままさに…
- 同級会哀感(2016年12月26日)
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小学校を卒業して、62年経った。10年に一度、5年に一度、4年に一度と私達は同級会をやってきた。騒ぎ、喜び、酒を酌み交わしてきたが、5年前頃からは、ちがってきた。 病気のこと。健康のこと。介護のこと。そして死。同級生のうち10人が鬼籍に入っていた。懐かしさより、なぐさめ合いにかなりの時間が流れた。 韓国から日本人に帰化した、杉山(仮名)はドン底の貧乏生活…
- 4回目の成人式を迎えた加瀬先生(2016年12月15日)
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加瀬英明先生が80歳の誕生日を迎えた。傘寿だ。先生はあいさつの中で「私は4回目の成人式を迎えることになった」と得意のジョークで会場を湧かせた。外交評論家としての加瀬先生は世界的にも名の通った有名人だ。日本を誰よりも愛している。愛国の心ほとばしる士だ。 英語は外国人よりも得意だ。だからこそブリタニカ初代編集長になった。いわゆる保守の論客で福田、中曽根内閣の特…
- 訣別の街~人生は愛と友情と裏切り(2016年11月21日)
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ある寿司屋の女将が、亭主から別れ話を持ちかけられ、大粒の涙を恥しげもなく、私に訴えた。「私くらいあのひとを愛してきた女はいない!男って信じられない!私は完全に裏切られた」と。そして二人は二か月後に別れた。亭主は美貌の若い女将を迎えた。 私は複雑だった。人と人との信頼、恋、愛、友情は人間の永遠のテーマだ。太宰治は「大人とは裏切られた青年の姿だ」と書いた。…
- あの日のダンディとこの日のダンディ(2016年11月02日)
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久しぶりにダンディを見た。元ふじみ野市議会議長福村さんの叙勲のパーティは、私の少年時代を快くくすぐった。福村さんは20代の若き日に、旧豊岡町の技術職として水道事業に心血を注いだ。一方で、野球の名手だった。もともと豊岡町は豊岡物産という有名な会社もあって、野球でも全国にその名をとどろかしていた。豊岡町役場もその刺激を受けて、埼玉県でも屈指のチームとして君臨して…
- 「男」花板(2016年10月07日)
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友人に花板がいた。学業もトップクラスだった。ある有名大学の受験に失敗した。彼は潔かった。大学進学を即あきらめた。「俺、板前になる!」友人の私はびっくりしたが、彼に「男」を感じた瞬間だった。「料理人になるなら絶対、一流になれよ。日本一の板前になって、その料理を食わしてくれよ」彼は「おお!」と言ってふる里をあとにした。日本では超一流のホテルに修行に入った。数年、…
- そばやの男と女(2016年09月12日)
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どうも最初から印象はよくなかった。暗い。眼つきが白眼がちで落ち着きがない。ようするに、狡猾そのものの顔なのだ。 そばのメニューを見ていた。「私はこの鴨汁そば」 2,100円と書いてあった。男の顔も急に暗くなった。 錆びたような正方形の小さなサイフには、どうみても10,000円以上は入っていないようだった。 「俺はたぬきにする。君はきつねでどう?」シャ…