社会
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紫式部の『源氏物語』世に出てから千年ということで、この古典があらためて注目され、ブームとさえ言えるその人気は今も続いている。作品についていろいろ新しい解釈が登場するだけでなく、作品の舞台となった平安時代の宮中や公家社会についても、当時の記録をもとに研究が進んでいる。
『源氏物語』には宮中スキャンダラスとも言える男女間の話がかなり盛り込まれているが、実在した皇族たちの中にも奔放な女性遍歴に彩られた人は少なくない。その辺の事情に詳しい山本淳子さん(京都学園大学教授)の著書『源氏物語の時代』(朝日選書)によれば、「在位中はもちろん退位して出家後も、闇雲に女性を求めた」という花山天皇(在位984~986年)が代表格か。
もっとも、天皇が色を好むことは白眼視されたわけではなく、血筋を絶やさないために奨励されたぐらいだ。当時の天皇は十代前半で后を迎えることが珍しくなく、その後何人もの后を持つことになるわけで、女好きにならないほうが不自然かもしれない。
当然、子だくさんになる。平安前期なら嵯峨天皇は49人、文徳天皇は34人、村上天皇は30人で、いわゆるご落胤を加えれば、数字はさらに増加するだろう。
やんごとなき人々のこんな人間臭い話が、おおらかな感じさえするのは、現在の皇室が直面している深刻な後継者問題があるからかもしれない。天皇の後継者は直系の男子に限るという伝統は皇室典範にも定められ、男子誕生が少ない皇室はいずれ後継者がいなくなってしまう可能性がある。
女性天皇や女系天皇を認めることや皇族から離脱した天皇の男系子孫の皇族復帰が検討されている。一部には側室制度復活論もあるが、真剣に議論されることはないだろう。とはいえ、平安時代の皇族たちが見せた血筋を絶やさぬための奮闘ぶりには教えられることもありそうだ。
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