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コラム …男の珈琲タイム
春はさよならとこんにちはの季節。さよならでも永遠の別れは辛い。逆にさよならして良かったという別れは幸せだ。別れたが故に幸せが落花の桜のあとのハナミズキのようにたわわにやって来る時は嬉しい。ハナミズキで「一杯」というのもおつなものだ。先日、ある本で断捨離の話が出ていて、もうとっくに過去の人、終わってしまった人とはしっかりと離れることが幸せの鍵だというようなことが出ていたが、その通りだと思う。疫病神になってしまっている人間と、腐れ縁で別れられなくなっている人は、不幸そのものなのだ。それとは別に、人生別れは必然だ。生あるもの、必ず別離が待っていることもよく覚悟しておくべきだ。人生に永遠はないのだ。だからこそ人は永遠の愛を夢想するのだ。「人は流れの如く去って返らず、人は草木に似て春草を争う」明治の元勲木戸孝允(桂小五郎)は嘆いたという。私は怒りの時「壮士ひとたび去って又帰らず、風はひょうひょうとして易水寒し」と粋がっている。いずれにしても、全てことは過ぎ去っていくのだ。春の落花はそれを教えてくれる。
鹿島修太