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コラム …男の珈琲タイム
その人の眼光が急に変った。人を包みこむようなやさしい眼が、人を射るような鋭い眼になったのだ。ほんの瞬時だが。ゴルフの昼食の時だった。世間一般のよもやま話から、寿司屋の親方の兄貴が弓道でイタリアに渡り、途中剣道に魅せられ、剣の道に進み、今ではイタリアに帰化し、多くの弟子をもって暮らしているというA氏の話だった。「え!その人って埼玉の剣道で優勝した人ですか?」「いえいえ、もともとは弓道でしたから・・・」その時、私の脳裏は高校時代の体育館の中で防具をつけ、熱いはずなのにあまりにも冷たい光を放っている竹刀の剣士F君の姿で一杯になった。「あ、あのその当時、埼玉剣道界で名を馳せたF君のことではないですか?」「え!Fさん!そう!その人です。私と一緒に秋田国体に出場し、全国最優秀選手に選ばれ、後に拓大の主将になった、その人ですよ!懐かしいなぁ!」声を張り上げたその人は、七段の教師だった。それはともかく、F君は私の親友だった。深窓の令嬢と結婚し、故あって別れ、その後、会社を立ち上げたのだが、パッタリと便りが途絶えて今日にいたっていた。他愛のないような話だったが、私にとっては深い意味があった。男同士の友情。男としての生き方等々皆、Fから影響があまりにも強かったからだ。かつてFと一緒に国体で活躍したその人がFの化身のように思えた。私とその人はその後、急激に接近した。その人は政治の道にも入り、新自由クラブの活動もしたという。さいたま市のかなりの地主であることも知った。竹の子も、オリーブまで栽培しているその人。ゴルフはいろいろな人をあたかも磁石のように引き寄せ、思いもよらぬ人生を知るようになる。17年ぶりに一念発起して始めたゴルフ。たかがゴルフ。されどゴルフなのだ。考えてみれば人生いろいろ。たかが・・・・・、されど・・・・・が人生にはあまりにも多いのではなかろうか。
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