３月2日、３日の夜、９時からはテレビに釘づけになっていた。世界卓球選手権 女子のリーグ決勝、トーナメント準々決勝だ。何しろ相手はヨーロッパチャンピオンのドイツ。世界の強豪だ。体躯たるや、下半身の筋肉、腕力、大きさ、どれをとっても日本女子を凌駕している。あたかも大鷲が燕雀におそいかかる。そんな光景だった。さらに、ラリーの正確さと速さは世界NO１の中国に一歩もひけをとらない凄さだ。

さて、リーグ戦、エースの石川は見事に相手のエース、ソルヤを破った。しかし、キャプテンの福原愛ちゃんはすっかり受け身で完敗。圧巻は中学生の伊藤美誠。思いきりのいい戦いぶりで打ち負かし、石川につなぐ。石川は負けて、ラストは再び愛ちゃん。善戦したが、またもや敗れてしまった。愛ちゃんの瞳から大粒の涙がこぼれおちた。

ベンチは、「今日の負けは明日の勝ち！」と誰かが叫んだ。わたしは直感した。「明日は勝つぞ。四分六か五分五分なら、精神の強さと負けじ魂の強さが必ず勝つ！」我事のようにかみしめた。

そして、トーナメント準々決勝。またもやドイツだ。頭のいい中学生がまず勝った。エース石川は昨日負けた相手に苦戦の末、勝ちぬいた。そして愛ちゃん。積極的に攻めまくる。しかも速攻に転じた。相手のミドルとバックに機関銃のように打ちこんだ。日本は昨日負けたドイツに３－０の完勝。負けた者は、次に必ず勝たねばならないという教訓を与えてくれた。どんな時にも屈せぬ魂こそが、明日を拓き、明日を創る!そして、人生は逆転のドラマだ！

遠くで春雷を聴いた。そして春嵐の幻を見た。春嵐をかけぬけてこそ、あの麗々たる桜の美姿に会えるのだと確信した。