文芸広場
俳句・詩・小説・エッセイ等あなたの想いや作品をお寄せください。
犬を連れた散歩道の途中に
地域伝説がある小さな祠がある
あるとき格子戸から中を覗くと
三十センチくらいの阿弥陀像の立像が見えた
特に信仰はないのですが
タダ見では悪いと丸い穴から百円玉を落とした
お堂の床には既に
硬貨が幾つかあった
暗いお堂の中で阿弥陀像様は視線を伏せていたが
かすかに微笑んでいた
それからそこを通る度覗いたが
…何を見ているの? ヘンな趣味・・・
その間犬が不審そうに私を見ていた
ほの暗いお堂だったが
西日の明るいときは
黒ずんだ元金色の阿弥陀像が
浮かんでいるように見えた
何度目かの覗きの時だった
阿弥陀様が笑ったように見えた
阿弥陀様も向こうの世界から
時々私を覗いていたのだ
…十年前の私を
二十年前の私を
子供の頃の私を
そして今の私を・・・
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