トップページ ≫ 社会 ≫ 飯能市在住・写真家吉田功氏の個展にて万感の思いに浸る「廃校の行方」
社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
場所は新宿エルタワー28階「ニコンサロン」。(開催日4/30~5/6)
廃校を目前に控えた子供たちの姿、そして別れの日。
もの悲しげな眼差しは子供たちだけではない、学び舎も同じだった。
惜別と静寂。役目を全うした学び舎の姿がある。
平面なその写真には被写体の心とそれを映し出す撮るものの訴えがあった。
写真家吉田功。
吉田氏の物語の序章はたった4人の生徒の卒業式。
知人からのすすめでその学校にむかう。
卒業式を目の当たりにして教育とは何かを知る。
「一人一人にメッセージを送る校長をみて教育の原点を改めて感じた」と吉田氏は語る。
それから30年。廃校写真を撮り続けてきた。
誰もいない校庭の雪、時を忘れた時計。孤独な学び舎が何かを訴える。
吉田氏は言う。「どんな形でさえ、思い出の場所は廃墟であってはならない」と。
私は「ものをも命」、「学校も命」だと想う。
吉田氏が言うように、思い出の場所「学び舎」は任務を終えて形がかわってもその場所で輝いてほしいと願う。
そして人も同じ。一つの役目を終えた時どうあるべきか、どう輝けるかだ。
写真家吉田功氏の個展は私にとって「写真とは何か」「学校とは何か」「命とは何か」を教えてくれた奥深い空間だった。
私は常々、写真の評価はどこにあるのだろうと想っていた。
その答えを見つけられないまま時が過ぎていた。
写真とは被写体の想いを撮り手が担い、レンズに映し出す。
そして、被写体と撮り手と観るものの想いが重なりあったときに秀逸かつ最高の1枚となる。
私にとって51枚すべてが「至高の写真」となった。
(古城 智美)
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