トップページ ≫ コラム ≫ 埼玉の余話 ≫ 地方の帝王 ⑤ たかりに成り果てた市長
コラム …埼玉の余話
政治センスもまあまあ。マスクもまあまあ。愛想はとびきり良かった。しかし、二期も過ぎた頃から業者達がおだて始めた。「最低5期はやってもらいたい。だいたい対抗馬なんかいませんよ」等々。権力の座にいると、おだての言葉が普通の10倍ぐらいここちよくなるという。「金だっていつだって用意しますよ」とすり寄る業者が増えてきた。いつの間にかこの市長はすり寄ってくる業者の甘言に少しずつ乗っていってしまった。一方で政治の筋もなくしていった。自分が出馬した当時の本当の支援者よりもすり寄ってくる新興の支持者や政党に舵を取った。国会議員の応援も表と裏を使い分けた。挙句の果て、業者から金銭の授受があると覚え書きまで書いてしまった。「確かに受領しました。この見返りは仕事で致します」選挙になるとそのうちの一人が「もし俺の言うことをきかなければコピーして全戸にバラまくと脅かした。こうなるともう市長でもなんでもない。その場はうまく逃げても黒くなったものは白くならない。しかし、それでも「市長さん市長さん」とおだてられるから全く自分を見失った。四選目の市長選は評判のさしてよくない市議に完敗した。この市長は二度と立ち上がれなくなって急に老人になった。