トップページ ≫ 外交評論家 加瀬英明 論集 ≫ イスラエルにおけるソロモン王の存在
外交評論家 加瀬英明 論集
『旧約聖書』のはじめの五書が文書化されたのは、イスラエル統一王国の三代目であった、ソロモンの治世である。
ソロモン王は、紀元前961年から紀元前9それまで22年にわたって、在位した。それまで五書は口伝えによって、伝えられてきたものだった。
もっとも、キリスト教徒イスラム教が同一神として崇めるユダヤ教の神も、『旧約聖書』を読むと、他の氏族や部族がそれぞれ自分の神をもっていたから、はじめは多くの神々のなかの一つの神でしかなかった。
神は、ユダヤ民族の始祖とされるアブラハムに、「わたしは、あなたとの間に、また後に続く子孫との間に契約を立て、それを永遠の契約とする。そして、あなたとあなたの子孫の神となる」(「創世記」17-7)と、告げている。
多くの神々の一つであり、はじめはアブラハム一族の神にすぎなかった氏神が、やがて唯一神となってゆく。
『旧約聖書』は、「ソロモンの心は迷い、イスラエルの神、主から離れたので、主は彼に対してお怒りになった。主は二度も彼に現れ、他の神々に従ってはならないと戒められた」(「列王記上」11-9、10)と述べている。
あるいは、ユダヤの「神は神聖な会議の中に立ち、神々の間で裁きを行われる」(「詩編」82-1)とか、「種は大いなる神、すべての神を超えて、最も畏るべき方。諸国の神々はすべてむなしい」(同96-4、5)と、記している。
『旧約聖書』は、神の自伝か、神が成長してゆく履歴書としても、読める。
本来であれば、神は時間を超えて不変の存在であるべきなのに、時代とともに変わってきたから、人と同じ脆さを具えており、人がつくったものであることを、示している。
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