トップページ ≫ 社会 ≫ 教育 ≫ 2016年版 埼玉県の高校入試で親子が知っておくべき5つのポイント(2)
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第2位 「入学させたい生徒」の質にも変化が現れる
保護者と同様に高校側も「大学の現役合格率」にこだわれば,当然ながら「入学させたい生徒の質」も前年とは異なってきます。高校側も預かった生徒を現役で合格させなければ自分たちの首を絞めることになりますから,選抜へのこだわりは例年以上に強くなるはずです。その「こだわりポイント」をいくつか紹介してみます。
(1)英語を得意とする生徒を多く合格させたい
大学入試では,文系理系を問わず試験科目に英語が必ずあります。よって,現役合格にこだわる第一の条件が「英語が得意なこと」となるのは必然です。私立高校では「数学・国語では差がつかず,英語勝負」という傾向が強くなることが予想されます。これは言い方を変えると「数学は難化させれば差がつかない」「国語は,苦手とする者が自滅」ということですから,数学で得点を稼ぐタイプ,国語が足を引っ張るタイプの受験生が苦戦することにつながりますから,これを知っているか否かによって受験勉強のプランニングまで変わってくる重要なポイントになるのです。
(2)自分の目標に向かって歩みを止めない生徒が欲しい
大学入試では,高校入試以上に「定期テスト」と「受験勉強」の乖離が大きくなります。大学入試に向けた受験勉強は,長期的な視野で目標をたて,部活があろうが定期テストがあろうがデートをしようが,「やるべきことをやるべきときに消化する」姿勢を持ち続けることが必要です。特に首都圏の有名大学進学を希望するのであれば,私立中高一貫校に通う「先取り学習でアドバンテージを持つ生徒」と勝負しなければなりませんし,そのアドバンテージをひっくり返して現役合格を目指すのであれば,何があろうと「自分の目標に対して歩みを止めない姿勢」を持っている者が,最終的に大学入試を乗り切っていきます。
したがって,中3生は今の生活を振り返る必要があります。「部活が忙しくて勉強できません」「定期テスト前はその準備に全力投球します(受験用の勉強はお休みします)」といった姿勢は,一朝一夕に変えることができないことを大人は皆知っています。そんな気質の生徒が多数を占めてしまうと,その学年全体の方向性にも影響を与えてしまいますから,現中3には例年以上に「自己管理能力と強い意志」が求められるのです。
(3)ちょっと背伸びして勉強している生徒が欲しい
今年の中3生に限っては,高校入試に向けた勉強として「中学の内容を隅から隅まで完璧に」「決して難しくはない問題を取りこぼしなく完璧に」といった,保護者世代がたどってきた勉強法は,必ずしも求められていることではありません。むしろ「ちょっと背伸びをして,中学生としての枠を越えている」生徒が欲しいのです。例えば英語なら,
・単語や熟語は中学範囲に終始せず,センター試験レベル程度の教材を使う
・長文の長さ,スピードも,高1・高2に負けないレベルで準備する
数学なら,
・整数や確率,平面図形は中学範囲と高1範囲の境界があいまいなので,中学の教科書内容の学習に終始しない
といった,大学入試に向けたアドバンテージを意識した内容が具体的に挙げられます。
公立高校入試も今春から「学校選択問題」が始まりますから,特に英語・数学では,「私立型(ちょっと難しい私立高校の入試問題にあわせて準備する)」ことが,上記の課題を解決するための最善策と考えられます。 極端なことを言えば,いわゆる難関校に入学した場合,それが公立であれ私立であれ英語や数学で学ぶ内容の何割かは「もうみんな知ってるよね」ということで,流されてしまう可能性があるのです。そこで「はい,大丈夫です」と言えない生徒が予習復習に追われた余裕のない高校生活を送ることになるのは想像に難くないのです。(つづく)
教育クリエイター 秋田洋和