文芸広場
俳句・詩・小説・エッセイ等あなたの想いや作品をお寄せください。
初秋ともなり爽やかな風が心地よい
蝉の声もだんだん寂しく聞こえる
あれほど声を限りに歓呼してたのに
暗闇の中で蝉の誕生をみた
カラから抜け出たばかりはとても美しい
美しいというかけなげというか儚さもあった
身体も羽もうすみどり
この妖精みたいな小さな蝉が
いずれは黒茶に変わる
そして力の限り鳴いて鳴いて
存在を知らせている様に
道端に小さな穴がいくつもあった
この穴から蝉たちは力をしぼり出てくるのだ
その穴もなくなりはじめる頃
蝉たちの亡きがらも目に入るようになった
暗い土の中に長い間待って
暗闇の中誕生して
暑い日差しを浴び
声を限りに頑張って
この命のなんと短き儚さよ
蝉たちは幸せなのだろうか
哀れにもなるが
蝉には蝉の幸せを…祈ろう