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文芸広場
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眠れ無い時は羊を数えればよいという
1000匹めの羊が通り過ぎた後は
時計の音だけになる
重い荷物を傍に置いて
そのうち眠る
寝ているうち泥棒がきてソックリ
その重くて暗い荷物が無くなっているといいのだが
目が覚めると
いつも引き取り主のいない荷物は
居着いてしまった黒猫のようにうずくまっている
人の世は短いのに
無駄な時間があるものだ
窓の外にオリオン星雲が光っている
あなたは永遠なること
広大なことだけで
このように矮小で無名になることができない
貴方は人の短い命を知らない
笑うことや 嘆くことを知らない
私には短命な父がおり
報われることなく生きた母がいたことをしらない
幸多からぬ 家族への 私の思いを知らない
私につながる多くの
名のない人達の憮然たる思いや沈黙を知らない