文芸広場
俳句・詩・小説・エッセイ等あなたの想いや作品をお寄せください。
気がつくと私は蓮の花の上に座っていた
此処は寒くも暑くもない 何処も痛くない
「退屈だなァ」と呟くとブーンと蜂の羽音がして耳元に声がした
「美女を呼びましょうか」
「お願いします」間もなく
「お一つ如何」とお盆を持った飛天が現れた
暫くご機嫌で飛天と話していたが蓮の台からポンと飛び降りた
池の端を歩くと木陰の揺り椅子で新聞を見ている男がいた
覗くと今朝届いたこの世の新聞でした
記事は犯罪と事故と白々しいウソで溢れていた
極楽も三日も居ると退屈になる
みな様々な生き物に変身してこの世に出かけているという
「それでさあ」その方が嬉しそうに昨日の出来事を語った
その方はスズメバチに変身して物陰に隠れているお巡りさんを訪ねた
二人のお巡りさんは悲鳴を上げて飛びだしたという
お釈迦様は白い衣を着て池の面を見ていた
蓮の池の下は丁度地獄で水底に地獄が見えるのでした
犍陀多(かんだた)は相変わらず血の池地獄にあがいていた
お釈迦様に尋ねた
「どちらが本当の世界ですか」
お釈迦様が微笑んだ
「どちらも夢だよ」
極楽はもうすぐ昼でした
山上村人
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