トップページ ≫ 社会 ≫ トランプ退場で終わらない、トランプ的アメリカの行く末
社会
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アメリカ大統領選挙が終わった。事前の大マスコミ発表によるとバイデン辛勝、トランプ善戦といったところだろうか。
喉元過ぎれば熱さを忘れる。アメリカのみならず、日本のマスコミまで含めて飽くことなく現職大統領をまるで無能呼ばわりし続けたこの4年間の報道ぶりはひとつの歴史として記憶に留めておく価値はあると思う。
ドナルド・トランプはそもそもこういう人物が実際に大統領になるとは想定すらされていない、まさに規格外の存在だったことは間違いない。気高き最強国家のインテリ層の自尊心を傷つけ外から見て、決して過剰ではなく、憎しみの念すら持たれていた感を受ける。記憶の辿れる限り、アメリカ合衆国大統領に似た資質の持ち主は皆無である。
しかし今回も7,000万票以上を獲得したというこの事実は決して軽いものではない。
いささか旧聞に属するが、かつて第二次世界大戦の英雄でもあったアイクことアイゼンハワー大統領は退任会見の際、アメリカを覆う軍産複合体の存在にあえて言及した。当時はソビエトという差し迫った脅威が厳然と存在していたこともありこの発言は、多くの人が顧みるようなインパクトはもたらさなかったという。
時代は下るが、同じく冷戦真っただ中に世界平和実現の足掛かりを希求したケネディーもまた謎めいた最期を迎え、退場してしまった。
目に見えないものだからといって存在しない訳ではない。こうした類のことをすべて陰謀論のそしりで退けようとする姿勢こそ知的に怠情な行為といえるのではないか。
心あるアメリカ人たちはこうした表に出ることなくしかしアメリカの根幹に厳然と存在している何かに対して、抗議の声を上げる、こうした心情が少なくともトランプの4年を強く支えた原動力のひとつだったのではないか。トランプはプロの政治家集団から見れば全く離れたところから突然生まれ出た異星人的アウトサイダーである。熱情型で、熱狂的支持も同心円状に拡がるが、アンチもまた星の数ほど生み出される。日本風にいえば、決して畳の上では死ねないタイプとでもいおうか。
トランプは退場するが、彼を胚胎した一方のアメリカのうねりは未だもって健在である。このエネルギーが雲散霧消してしまうことはありえない。
いつの日かバランス重視型で整った政治家に飽き足らなくなった時、次代の熱情型政治家がまた生まれてくる土壌は常にあり続けるだろう。
とりあえずトランプ劇場終幕の今、今後世界が目指すべき新しい政治思想の潮流について沈思黙考、冷静に考えてみる良い好機なのかもしれない。
小松 隆
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