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文芸広場
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目指すてっぺんは標高2599mの金峰山。
今回は東京マラソンにむけてのトレーニング兼紅葉が目的だ。
山のアップダウンは走りとは違う筋肉を使うため、登山は最高のトレーニングになる。
金峰山は2360mまで車で行けるため比較的登山経験者にとっては楽しみながら登れる山だ。
しかし、いきなりの高度。人によっては軽い高山病を発症してしまうから要注意でもある。
渋滞を避けるため自宅を午後9時に出発。
勝沼インターをでて長い曲りくねった山道を行く。生い茂った木に囲まれた道は街を見下ろせることもなく、まるで闇の中。車の灯りもなく、眠気というものが襲うひまもないほどの緊迫のドライブになった。
駐車場には想像すらしなかった車の数。
天を見上げるとわずかな光の夜空に星が散りばめられていた。
ほっとした同時に眠気がおしよせてきた。
腕時計の針は午前2時半を指していた。
2時間の浅い眠りにつき、登山支度を始める。
日焼け止めは必須。気温3度にダウンをまとう。
朝食のおにぎりに水、そして山頂で食すカップメン。
雲ひとつない秋空に爽快な気持ちで登山を開始。
山の世界は、いくつか特別なルールというかマナーがある。
そのひとつに忘れてはいけない「挨拶」。この挨拶が人を一層清々しくさせる。
同じ目標にむかって歩く者にエールを送る。「がんばってね」と年齢を重ねた紳士が誰よりも元気で皆に声をかけているのが印象的で微笑ましかった。
お目当ての紅葉はというと期待はずれではあったが、いくつかのアップダウン、緩やかな道と岩場、時に富士山を眺め、登山道も色彩豊かである。
およそ3時間で360度の大展望が広がる山頂に到着。
まさに風光明媚なこの絶景が3時間の疲れを吹き飛ばしてくれた。
登山とはなんだか人生のようだ。
つらい坂道 時々笑顔 そして色彩。がんばったものだけが立つことのできるその頂き。そしてその者に与えられる美しきパノラマ。
そんなことを考えながら夜中のドライブを闇、星空をわずかな光に、頂きの陽を大きな光にたとえ、下山後詩を作ってみた。
それが文芸百花に掲載した「光を求めて」だ。
なにも知らない友人はその詩をみて「なんかあったの?」とメールをしてきたが、そんな心配はご無用。筋肉痛で体の動きが鈍いだけである。(笑)
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