トップページ ≫ 文芸広場 ≫ 雪んこのマイペースでいこう♪
文芸広場
俳句・詩・小説・エッセイ等あなたの想いや作品をお寄せください。
夏の風物詩「花火大会」。
この夏、各地で花火大会が目白押しだ。
私も先日、夜空を彩る花火の数々をこの目に焼き付けようと、隅田川花火大会に繰り出したもののゲリラ豪雨というアクシデントに見舞われ、後ろ髪を引かれる思いで帰路についた。
そんな訳で今宵こそはと、心躍らせながら先日持たなかった傘をバックにしのばせ、花火大会へと向かう。
私の選んだ花火大会は故郷の夜空だ。2万発という関東でも有数の規模を誇る花火大会である。
久方振りの故郷の夜空を眺めながら、まずは「ただいま」と挨拶をした。
そして一緒に花火を満喫するのは故郷の友だ。夜空同様、懐かしい話に花が咲く。
弾ける大きな音とともに色とりどりの花火が夜空のキャンバスを華やかに飾る。
それは豪華絢爛、そして威風堂堂たるもの、その夜空に華美に咲く花々に観るものすべてが魅了された。
昔まだ幼き頃、叔母の家が向島にあり、毎年屋上で観ていた隅田川の花火の懐かしい記憶が頭を過った。子供心に大きな大きな力強い花火が目の前に押し寄せてくるかのように「すごいもの」という記憶があった。
今はなぜか、わずかな時の中でその舞台に渾身の力をふりしぼって艶やかに美しく咲き、散っていく花火を儚く感じてしまう私もいる。だからこそその壮大で神秘的な姿に心を奪われるのだろう。
そんな情緒に浸っていたら、ぽつぽつと空からまた私を濡らすものが!
「ああ、隅田川の二の舞だけはご勘弁」と神様に祈るが雨は止まず、フィナーレを前に会場を後にした。
夜空に咲き誇る大輪の花火を背に、帰り道もたくさんの傘の花が咲き乱れていた。