トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 高校に入る前に親がしてはいけない82のこと 第5章 将来のタブー(77)
教育クリエイター 秋田洋和論集
将来を考えて、〝いい大学〟に行ってほしいと思う
〝いい大学〟さえ出れば、〝いい会社〟に入れ、その後の人生を有利に歩むことができた・・・そんな時代がかつてはありました。
残念ながら、今の日本ではそうとはかぎりません。
〝いい大学〟とは何か。これは難しい問いであって、人それぞれの見方があると思いますが、一般的に中学・高校からの視点で見れば、おそらく「偏差値の高い大学」のことを指していると思われます。
高校(普通科)の多くが予備校化し、大学の合格実績を競い合っている状況のなかでは、「とにかく点数を取っていい大学に行くこと」が第一義とされている部分があって、生徒たちはその価値観のなかで全力を尽くしています。
ひと昔前なら、そのような一義的な努力が高く評価されたようですが、経済が成熟し、価値観が多様化、社会が複雑化した現代では、受験のために得点力を積み重ねてきたというだけでは価値と認められなくなってきています。すなわち、
〝いい大学〟を出たことがゴールでは、社会では通用しないのです。
そして今はその大学自体の位置づけが変わってきています。四年制大学への進学率はすでに50パーセント超、私立大学に入学した学生のうち、推薦入試やAO入試など、一般入試以外の選抜方法で入学した学生の割合も、50パーセントを超えています(注2)。
つまり、大学がひたすら受験勉強に打ち込んで、激戦を勝ち抜いた人だけが入学できる場所ではなくなって、大学卒という肩書が急激に軽くなってきていると言えるでしょう。「学歴より実力」を重視する傾向が世のなかでは強まっています。
〝いい大学〟に進んだとしても、「とりあえず」大学だけは出たにしても、それだけでは「社会が求める人材」にはならず、
大学時代までに学業を含めてどのような経験をし、自身の能力が社会全体にどのような貢献をもたらすことができるのか
が試されることになるのです。だからこそ、中学・高校時代には、勉強に励むだけではなく、寝食を忘れて打ち込める何かに出合いたいものです。
(注2)文部科学省 平成24年度学校基本調査
「高校に入る前に親がしてはいけない82のこと」(PHP文庫)秋田洋和より