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文芸広場
俳句・詩・小説・エッセイ等あなたの想いや作品をお寄せください。
前夜の東京タワーのように「今」のわたしも東京マラソン色になる。
「がんばれ~」「がんばって~」と大きな声を連呼する。
昔の私だったらそれはとても恥ずかしいこと。というか観てはいるものの声を張り上げてということはしないだろう。
それが不思議、大勢の静かな観衆のなかにいながらも自然と声がでる。
まっ、それもそのはず、今日は私の「報恩謝徳」だから。
いただいた恩は決してそのままにしてはいけない。
いただいたらお返しをする。それが常識。
昨年、参加の際にいただいた声援を倍返しまでとはいかないが、音量でカバーしながらお返しする。
少しでも届け、伝われ♪
東京マラソンには数々のドラマがある。
出場するランナーの約3万6千のドラマだ。
今日はランナーひとりひとりがそのドラマの主役。スターだ。
それを想うだけで興奮する。
エリートランナーたちの競い合うドラマ。
それぞれの想いを胸に完走するランナーたちの熱いドラマ。
そしてまた無念にも走ることをやめさせられてしまうランナーたちのドラマ。
私は今回そのドラマに直面した。
35キロ地点。
あとわずか2分で関門は閉鎖される。
「がんばってあと2分・・あと1分・・あと10秒・・急いで、はやく!」
声とともに手が動く。「早く!早く!」もうでないというほど声を出し尽くす。
しかし、2時40分のその時、ロープをもった係員が無情にもランナーたちをさえぎる。それは関門という場所、いたしかたない。
わずか1秒が過ぎても通ることができない。
あとおよそ7キロで完走できるのに・・・。
まさに人生の難しさ、非情さをあらためて感じる。
そしてまた一つのドラマ。そこで諦めることを余儀なくされたランナーたちをたくさんの拍手が出迎える。
悔しさ、痛さ、辛さ、解放、それぞれのランナーたちの表情がわたしの前を通り過ぎていく。
「お疲れ様」と私もランナーたちをねぎらった。
号砲から7時間、東京の早春の風物詩「東京マラソン」が終わった。
今年は初めての応援団。
ランナーとしてのドラマではなく応援団としての私のドラマも幕を閉じた。
ランナーの皆さんお疲れ様でした。
頑張れるというパワーをいただきました。
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