文芸広場
俳句・詩・小説・エッセイ等あなたの想いや作品をお寄せください。
古生代にも縄文時代にも私はいなかった
自分であるこの世界に
ある日弾け出た一ケの陽画(ポジ)です
どんな姿でも切り取ると
その後に同じ姿の影の世界「陰画(ネガ)」が残ります
この世界は私が生まれたとたん
私は私でない世界に囲まれてしまうのです
奇しくもこれはDNAの構造だといいます
カラスはカラスの姿でカラスの声で鳴きます
ウグイスはウグイスの姿でウグイスの声で鳴きます
誰もがそのことに異存は無さそうですが
蛙は蛇に飲み込まれる時初めて哲学に目覚め
「オレは何んで蛙なんだ!」と呟く
蛇が笑います
「生命の樹をみよ。オレもオマエも元同根」
廻りを見渡し自分が何か勝れている存在なら
「天上天下唯我独尊!」ワオッ と叫びますが
自分はせいぜい一羽のカラス、一匹の蛙です
私は今私であることが不思議でなりません
心身私であるデザインに意図した記憶がないのです
藪の中で発声練習をしているウグイスに立ち止ります
あなたは美声で羨ましいよ
木陰で見つけたスミレにいいます
今生のあなたは美しく生まれてよかったね
山上村人
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