トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 品格ある子どもの育て方第一章 「品格のある子ども」ってどんな子?(10)
教育クリエイター 秋田洋和論集
自分で考え行動する子どもをどう育てるか
~地道な努力の積み重ねが自信に変わる~
また高校野球の話ですが、以前TVでこんな話を聞いたことがあります。
「横浜高校では投球の際に体が左右にぶれないようにするため、ピッチングネットを『自分をはさむ』ように両側に置いて、自分の体をロスなく打者方向へ移動するための練習を投手に課している。たいがいの投手は最初、おもしろがってやってみるのだが、数日もたてばやらなくなってしまう。だが松坂大輔だけは特に何も言わなくても、本当に毎日毎日地道に練習していた」
・勉強でもスポーツでも実力向上に、すごい裏技なんて存在しない
・日々の地道な練習の積み重ねでしかない
ということに、改めて気づかされた一瞬でした。松坂投手の堂々とした立ち振る舞いは、こうした「見えない影の努力の積み重ね」を自信に変えて生まれているのでしょう。
このような「自分で考え行動する」ことができる高校生がそれほど多くはいないだろう、ということについては、私もみなさんもそれほど感覚に違いはないと思います。この感覚を教えようとすることは、教えることのプロである教師にとっても難しいことだからです。
ここでは、その教え方のヒントとして、私が昔から参考にしている事例を紹介します。
プロ野球に、西武ライオンズという球団があります。前途の松坂投手が在籍していた球団です。今でこそ「25年連続Aクラス」を継続している強い球団ですが、創立当初は、それはそれは弱い球団でした。その西武ライオンズが強くなる過程が私にとっての教科書なのです。
私は福岡出身ということもあり、現在はソフトバンクホークスを応援しているのですが、25年前は当然のようにライオンズファンでした。ライオンズは昔福岡の球団だったことをもう知らない方も多いのではないかと思います。私が見てきた70年代のライオンズは、それはそれは弱い球団だったのです。
1979年に本拠地を福岡から埼玉に移しての西武ライオンズ元年には、いきなりの開幕12連敗。「がんばれタブチくん」をご存じの方は思い出してください。
常勝の雰囲気はまったくなく、発足したばかりの楽天イーグルスのような位置付けだったのです。ちなみに現在楽天監督の野村さんも実はこの西武ライオンズ1期生で、この西武で引退されています。
そんなライオンズですから、79年、80年、81年と3年続けてのBクラス。久々のAクラスとなったのは82年。これがなんといきなりの初優勝だったのです。
この82年には広岡監督が就任しています。広岡氏は78年のヤクルトに続いて、万年Bクラス球団を優勝に導き、名監督と呼ばれるようになりました。当時、高校生だった私でも、これはすごいと思う部分が多々ありました。
選手の食事に玄米食を指定し徹底する、といった大の大人に対する管理も有名です。私にとって一番忘れられないことは、82年の春期キャンプの練習内容でした。実は私が現在、この仕事をするにあたって「今でも参考にしている」ということを先に書いておきます。
「品格ある子どもの育て方(PHP文庫) 秋田洋和著」より
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