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コラム …男の珈琲タイム
サッポロビールの名キャッチは何といっても「男は黙ってサッポロビール」だと思ってきた。そしていつも私はこのキャッチに高倉健を重ねてきた。人は黙っていればカッコいいのではない。じっとこらえて沈黙で表現するからカッコいいのだ。
薄暗い海底のような地下のバーでいつもスコッチのウヰスキーをかたむけて独り物思いにふけっている老紳士に数回会った。会ったというよりも少し離れたカウンターの片隅から私がその老紳士に魅かれていたという方が適切かもしれない。老紳士は独りで暮らしていた。物思いにふけるというより、これからある事業に挑戦するために静けさを求めていた。その静けさをバネとして荒々しい事業に意欲を燃やしていたのだ。
沈黙はスタートのためのエネルギーの蓄積だった。屈するとは次に伸びるための準備だ。それと同じようにサッポロビールを黙って飲みほしている男は明日また明るく人生を築いていくためのしぐさなのだ。
高倉健は男らしい男だと思う。それは抑制することを心得た男の美学を本能的といっていいほどかもし出しているからだ。高倉健がひとたび話をし出すとそれはユーモアに富んで言葉がタップダンスを踊っているようだったという。ユーモア、闊達、饒舌、沈黙は粋な男のワンセットだ。そして味のある人生はそういう男のみの特権なのかもしれない。
(鹿島 修太)
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