なでしこ便
女性ならでは眼コミ、口コミ、スパイシー語録
「ざんねんないきもの展」が池袋のサンシャイン水族館で開催されていた。かなり好評だった。残念な生きもの!とはどのようなモノなのか。
体や生き方、能力、名前という観点ではあるが、実際はかわいいけれども天使の頭から口が開いて獰猛に獲物を食すクリオネ、自分の体に付いた苔をおやつにする動作のゆるいナマケモノ、ブタ鼻ガメ、海のギャングというイメージなのに歯が平らな黒白しまのゼブラウツボなど、残念というより興味深く、見ていて楽しい。残念だと言われる事の方が残念だ。
そんなことを考えながら、急に伸び始めた草を抜こうと庭に出た。あちこちに咲きだした「貧乏草」。これこそ残念な花だ。かわいそうな呼ばれ方と嫌われて捨てられる運命にあるのかと、試しに束ねて花びんに差してみた。小菊の集合する様は春らしく柔らかい。なかなかだと褒めて、2~3日。水を替えようと触れたぽろぽろ花弁の様なものが落ちる。多分そのうち綿毛も舞いそうな予感。これまでだ。やっぱり残念なのか。
諸説、この花を摘むと貧乏になるとか、貧乏な家の枯れた土壌でも咲くからとか言われて付いた名前だとか。
「ハルジオン」「ヒメジョオン」、どちらも北米生まれ。見た目は似ているのに、ハルジオンと検索すると、すぐ貧乏草と表示されている。元の名は悪い名前でもなく、よく見れば可愛い小菊の様相。見た目はか細いが、繁殖力は逞しい。同じ草なのに最近珍重されている山野草の枠からもはずれ、ただただ種を守り続けて可憐に生きている。
残念な物。それは勝手に人間が言っているだけで、本当は残念でも何でもないのだ。
鹿山 夕子