トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 品格ある子どもの育て方第二章 品格の「土台」を小学生のうちにどう作るか(17)
教育クリエイター 秋田洋和論集
コミュニケーション力と判断力を養う
言葉の使い分けを考えるとき、電話でのやりとりを取り上げないわけにはいきません。塾講師という仕事柄、夕方から夜にかけて生徒の自宅に電話連絡をしなければならないことがあります。「未提出の書類を次回持たせてくださいね」といった類の連絡です。
中学生の子どもを持つお母さんの中には昼間働いている方も多く、夕方には電話をかけても直接話ができない方のほうが多いほどです。その場合、留守番している子どもと話すこともしばしばあります。
相手が塾に通っている生徒本人であれば、お互い知っている関係ですから会話に支障はありませんが、直接面識のない兄弟姉妹との会話になったとき、最近特に多いのが次のような会話にならないやりとりです。
「もしもし、○○塾の秋田と申しますが、お母さんはいらっしゃいますか?」
「何時頃お帰りになるかおわかりですか?」
「わかりません」
「じゃあ、電話があったことだけ伝えてもらえますか?」
「ハイ」(ガチャンと切る)
塾講師をされている方であれば、誰でも一度はこのようなやりとりで正直、イヤな思いをしたことがあるのではないでしょうか。
中学生の生徒から見て弟・妹にあたる子であれば、このような応対でも仕方ない部分があるでしょう。でも、これが生徒の兄・姉だったとしたらどうでしょうか?
最近の高校生はほとんどが携帯電話を所有していますから、自分の携帯で自分の友達と話しているのであれば、このような単語のやりとりだけでも会話として成立するかもしれません。
しかし、自宅の電話で母親宛てにかかってきた電話での対応として、このやりとりが年齢に見合ったものかというと疑問符がつきます。
母親の不在を告げることができるのは当然としても、見ず知らずの人に対してこのやりとりでは十分な応対と言えるのでしょうか。
これもやはり、家族との会話しているときと見ず知らずの人との会話の使い分けができていないことが原因です。「誰にも迷惑をかけていないだろ」と言われてしまえば確かにそうかもしれませんが、相手に与える印象はよいに越したことはありません。
品格の身についた子どもは、当然ながら初対面の相手に対して、マイナス評価を与えないし、そのようなマイナス評価をもらわない振る舞いができるはずです。
特に、自分次第で防ぐことができるような無用のマイナス評価をわざわざもらってしまうような振る舞いをすることはありません。
ですから、電話のような顔の見えないコミュニケーション手段であればなおさら、他人に与える印象を意識したやりとりができるように心がけたいものです。
「品格ある子どもの育て方(PHP文庫) 秋田洋和著」より
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