忍城

　戦国時代に忍城を舞台に展開された石田三成軍と領民から「のぼう様」と呼ばれ親しまれた成田長親を中心とする忍城の人々との攻防を鮮烈に描いた原作に基づく映画『のぼうの城』（原作・和田竜）の公開延期が発表された。映画は6月には完成し9月17日から全国公開を予定していたが、2012年秋の公開へと延期されることとなった。
　
　映画を配給するアスミック・エースが延期の理由に挙げているのは、石田三成軍による「水攻め」。「水攻め」（攻め落とす城を巨大な土塀で囲み、そこに川や海から引き込んだ水を流し込む戦術）は史実を基にしたもの。映画ではリアルな迫力ある映像で描かれたようだが、「時節柄ふさわしくない描写ではないか」という結論に達したという。
　
　『のぼうの城』では、豊臣・石田軍2万の大軍に対し、たった500人で抗戦することになった成田軍が「のぼう様」のもと武将から農民まで一致団結して絶体絶命のピンチを乗り切る姿が感動的だ。そこで描かれているのは、400年も昔の史実を基にしながらも、何事にも屈しないという日本人の底力と、危機的状況下で必要とされるリーダーシップや人間力だ。「水攻め」についての議論は当然で、今回の判断についてもやむをえないものだったと考えられるが、来年の公開では日本人に大きな勇気を与えてくれることを期待したい。
　
『のぼうの城』オフィシャルサイト
http://nobou-movie.jp/

　
行田・忍城舞台の映画『のぼうの城』（2011年公開）に野村萬斎らメインキャスト決まる
http://www.qualitysaitama.com/?p=7907

　
ぶらり、のぼうの城紀行
http://www.qualitysaitama.com/?p=9320