文芸広場
俳句・詩・小説・エッセイ等あなたの想いや作品をお寄せください。
自分が自分に気づくのは
周りに誰もいなくなってからです
仲間から取り残された時です
自分が群れの中で劣っていることに気づいた時です
柿の実が自分に気づいたのは季節の終わりであった
青い小さな実は夏の盛り自分を知らなかった
やがて周りの葉はそれぞれに身を飾り枝を離れていった
その昔熟した実は人が食べた
何故か今は鶏も姿をみせない
柿の実は無為に過ごした日々を訝しみ
意味を問いかけたが問いかける相手がいなかった
人の世の輝かしい役割を終え
今は安らかに余生を送っている人達もいます
日々の散歩道で気づいた
誰もいなくなると 見えてくるものもある
見回すとこの世界は名の無いもの、意味のないものばかりだ
アカマンマの一つ一つの実 野菊の花の一輪一輪
それぞれに自分がいる
日が傾くと柿の実は広大な夕映えの中にいた
美しいもの 懐かしいもの 幼心のものたちの声が聞こえる
短い夕映えが地の果てに消えると
全天の夜空の幕が開き自分は無数の星の中にいた
星々が奏でるシンフォニーの中で
柿の実も野の花も名の無い者達が一つになった
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