社会
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自民党には地元或いは支持団体と役所との間を斡旋し、地元或いは支持団体のために予算を分捕ってくるのが政治家の仕事と心得て、一般国民や国益など眼中にない議員が多い(政治家の仕事はロビー活動ではないと知るべきだ)。自民党は景気対策の美名の下で特定業界(土建業界がその代表)を支援しその上前をはねることに罪悪感を感じなくなった。
だが財政逼迫のためそうした構図を維持するのがむずかしくなった。そのことは一昨年の参議院選挙にはっきり表れている(金の切れ目が縁の切れ目)。にもかかわらず衆議院解散後麻生さんが最初にやったことは業界への挨拶回りだった。彼は自民党支持基盤が揺らいでいることに鈍感であった。
自民党の予算編成方針は各省庁各部局の積み上げ方式であり、しかもそのシェアは動かせないという思い込みが強く、政治家として最も重要な優先順位判断能力に欠けるところがある。それが悪評芬芬の国営メディアセンターが補正予算に盛り込まれた背景にある。
選挙時期を遅らせたことも、民主党の多数の新人候補に周知期間を与えることになり民主党に有利に働いた。
自民党候補者が「比例は公明党へ」と叫んでいた。これを聞いて本来の自民党支持者はどう思うだろうか。自民党は公明党と連立して失うものも多かった。少なくとも他の宗教団体の支持は確実に減らした。直前の都議選では自民党と公明党は協力関係ではなく競合関係にあった。これが国政選挙での両党協力の障碍となった。
平成の大合併による地方議員の減少も自民党にこたえた。それは自民党に限らず他の政党だって同じじゃないかと反論が出そうだが、さにあらず。自民党はどちらかと言えば信条ではなく利害で結びついている政党であるので、地方議員以外に手弁当で選挙を手伝うボランティアは少ない。公職選挙法で戸別訪問を禁止しているのは「買収等不正の温床になる」というもっともらしい理由を付けているが真の理由は自民党は他の政党に比べてボランティアが少ないのでその解禁は他の政党に有利だからというものである。
自民党の四年前の大勝は無党派層を取り込むのに成功したからである。それに失敗すれば負けることは二年前の参議院選挙の結果が示しているにもかかわらず、二人の首相が任期途中で辞任し支持率低下に拍車をかけた。
共産党が小選挙区の候補者を絞ったことも民主党に有利に働いた。これまで共産党に投票していた人が自民党に入れるとは考えられない。棄権するか民主党に投票したであろう。共産党は口に出しては言わないが、それが候補者を絞ったことの本当の狙いだったかもしれない。
今回は決してマニフェスト選挙ではなかった。自公政権十余年の実績を問う選挙であった。長く政権にあった党が長く野にあった党に悪口雑言を浴びせるのは筋が違う。先ず自らの実績を語るべきだろう。もしあったとすれば。
世襲議員が最も多い自民党が大敗し野党に転落したことには世襲批判の世論が一定の役割を果たしたのかもしれない。自民党は世襲若しくは官僚という候補者選定法から変えるべきだろう。もっとも野党に転落したことで今後候補者のリクルートは容易ではない。
ついでの公明党敗北のこと。公明党は直前の都議選にエネルギーを使い果たした。公明党は都議選のため全国から動員をかける。東京都関係者だけが動くわけではない。それに今回選挙のように投票率が上がれば組織的固定的な公明党票の比重は相対的に下がる。これが公明党が小選挙区で全敗した理由である。