トップページ ≫ 社会 ≫ 自民党総裁選 カオスからの収斂を求む
社会
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岸田首相の突然の不出馬宣言。想定外と受け止められたこの発言以降、頸木を解かれたかのように我も我もと自民党総裁選挙に多くの人が出馬を模索しているようだ。
かつてのキングメーカー、田中角栄元首相は首相の条件として、党三役(幹事長、総務会長、政調会長)のうち、幹事長を含む二つと、蔵相(現財務省)、外相、通産相(現経産相)のうち二つとあげた。令和の世にこの発言を引っ張り出してくると如何にも時代がかっている気もするが、要諦には権力の階段を一歩ずつ長い期間をかけて登ってきた、財政・外交、また党運営に通暁した。いわばふるいにかけられた人物でなければ、最高権力者としての必要条件を満たしていないとの評価である。
自民党はイデオロギー政党ではない為、長い間派閥がその力の源泉となり、またそれぞれその集団の総意として、上記条件を満たすような次期・また先の首相候補が大切に、時間を
かけて育てられてきた。そこにはリーダー養成の為のエリート醸成機関の意味合いも含まれていたのだろう。時代を経て、予定も含む今回候補者の中で純粋にこの条件の該当者は皆無。少し拡大解釈すると石破、茂木両氏が該当といった感じだろうか。
リーダー足らんとする人物には自ら先陣に立とうとする気概は必須、ただ自薦ではなく他者からの推挙の側面はどこまで担保されているのだろうか。
危機的状況にある自民党は、本能的選択としていつも以上に国民的人気の高い、選挙の顔になれる人物を神輿に担ごうとするだろう。またその時点で勢いがつけば一気に衆院解散に打って出るところまでは既定路線となっている。
若さ、勢い、人気、経験、実績、人物、様々な評価軸は外から判断できる項目もあれば、はたからは窺い知る事の難しい項目もある。何度も繰り返されてきた延命目的の選択ではなく、この難しい時局にリーダーとして誰が相応しいのか。腰を据えた大局からの選択が求められている。
小松隆