社会
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作家の林真理子さんが問題山積の日本大学の理事長に就任したのは昨年7月だったが、話題先行が目立ち、迷走が続いている。今年7月にはアメリカンフットボール部に違法薬物事件が発生、その対応をめぐり、大学の第三者委員会の報告書では「当事者意識を持たなかった」と指摘された。さらに11月22日の臨時理事会において、正副学長の辞任が求められるとともに林理事長の大幅減給案が提示された。
理事長の年俸は2400万円と言われ、その50%減とのことだから、林さんにとっては大変屈辱的なことだろうが、気になるのは雑誌に掲載されているエッセイも最近は精彩を欠いていることだ。理事会ネタは封印している上に、時期が時期だけに、グルメに旅行、セレブたちとの交友を書くのも抑制しているようだ。本人も「毎日、何が起こるか分からないから」と言い訳しているが、女性の本音と欲望が盛り込まれていないと林ファンには物足りないはずだ。
大学理事長を引き受けた時に私は「よせばいいのに」と思ったが、現在の事態までは予想できなかった。同業者の団体である日本文藝家協会の理事長になったのとは事情が違う。日本最大の大学において、前理事長時代からの旧弊は一掃されたわけではなかった。「マッチョな体質を改革したい」と言っていたが、認識の甘さは否めない。もともと上昇志向の強い人だから、大学理事長の座もその延長線上にあったのだろうか。
でも、林さんは新聞や週刊誌、テレビではあまり叩かれていない。小説やエッセイの連載やテレビドラマ化という事情が絡んでいることもあろう。とはいえ、一連のゴタゴタで90億円という私学助成金が3年連続でゼロになり、一番の被害者は一般学生だという事実は重い。
山田洋