トップページ ≫ 社会 ≫ ちょっと苦しい政権擁護コメンテーター
社会
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ここ数か月、テレビのワイドショーでは森友学園問題を取り上げてきて、ここにきて加計学園の獣医学部新設をめぐる疑惑がクローズアップされている。番組には何人ものコメンテーターが登場し、森友学園や加計学園への国の対応の不適切性を指摘している中で、いつも政権擁護の持論を披瀝する人もいる。
安倍首相に最も近いジャーナリストと呼ばれているのが元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(51)で、民放各局を掛け持ちし、森友から国際問題まで幅広く解説していた。今、この人にとんでもない破廉恥罪疑惑が持ち上がっている。「週刊新潮」5月18日号によれば、ニューヨークの大学でジャーナリズムと写真を学んでいた女性が、3年半前に彼と出会い、就職の相談をした。その後、東京で会った時は鮨屋に誘われたが、酒豪のはずの彼女が突然意識を失い、意識が戻ったのはホテルでレイプされた痛みのためだった。意識を失ったのも飲み物に薬物を入れられた可能性が考えられるという。
これにはタクシー運転手やホテル従業員の証言やホテルの監視カメラの画像があり、警察は逮捕状を用意し、彼が米国から帰国する成田空港で逮捕されるはずだった。ところが、警察上層部から連絡があり、「逮捕は取りやめ!」となった。このドンデン返しの裏には菅義偉官房長官の秘書官を務めたこともある警視庁の刑事部長(当時)の決断があった。ここでも安倍首相に近いジャーナリストということで特別の配慮があったのではとの声がある。
山口氏は昨年5月にTBSを退社後、安倍首相本である『総理』『暗闘』(ともに幻冬舎)の2冊を刊行しており、政権内部を知り尽くした著者ということで話題になり、多くの読者を獲得した。しかし、「週刊新潮」の記事が出てからは、テレビでも見かけなくなった。訴えられている内容が内容だけにテレビ局も起用をためらうのだろう。たとえ出てきても、安倍政権擁護を声高に言われたら、それこそ「贔屓の引き倒し」になりかねない。
山口氏の出番がなくなって、にわかに張り切っているのが時事通信社特別解説委員の田崎史郎氏(66)だ。この人は30年以上の政治取材をもとにした自民党の政治家がらみの著書が何冊もあり、2014年12月には『安倍官邸の正体』(講談社現代新書)を出している。安倍官邸の内部事情を事細かに書いているが、ヨイショ本であるのは確かだ。
後書きの中で彼はこう書いている。「この本を読んで安倍首相に寄りすぎている、批判が足りないと思われる方が多いかもしれない。しかし、それでも権力構造を解明し、伝えることがわれわれの最大の使命であるという私の確信は揺るがない。目の前で起こったことの真相を分かりやすく伝えていく――。それが最も大事で、批判するにも肯定するにも、まず真相を知ろうというのが本書の意向である。真実を知らないで、気軽に批判する気持ちにはなれない」
権力内部のことを知ることが第一で、その批判は自制的にという姿勢は、政権側の情報を流すだけになりがちで、後書きは著者自らの立ち位置の告白にほかならないだろう。
山田 洋
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