社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
今年も半分経過したが、日本の株式市場は年明け以降、何回もきつい下げを見せている。2012年末からの上昇相場も様代わりの観だ。大規模な金融緩和による円安が日本企業の海外売り上げを伸ばし、好業績をもたらしたが、円高転換とともに暗雲が漂い始めた。
先日は英国の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が決まるや、日経平均株価は記録的な下げ幅となるなど、海外要因によって為替や株が激しく揺さぶられている。国内要因と違って事前に予測しにくいところがあって、そのたびに投資家は右往左往させられている。
参議院選挙では与党は「アベノミクスのエンジンをフル回転する」と訴えているが、アベノミクスの旗振り役だった証券界では今、その言葉を口にする人はいない。変わり身の早さはリアルな経済に対応するためには不可欠なのかもしれない。投資家は今後も不安定な相場を覚悟しなければならないだろう。そのような状況下では株価下落に対する手立てが必要とされる。
株の信用取引におけるカラ売りは、今後は株価が下がると予想される銘柄には「売り」から入って、予想どおり下がったら買い戻して、その分の差額が利益になるという投資法だ。しかし、株式を熟知した人でないと実行は難しい。カラ売りが集まるような銘柄には買い手の思惑も絡みがちで、予想外の暴騰を演じる場合があるからだ。証券会社の人でもカラ売りのエキスパートは非常に少ない。
そこで、カラ売りに似ていて比較的リスクの少ない投資法を紹介したい。日経平均やTOPIX(東証株価指数)、外国株価指数に連動するETF(上場投資信託)、ETN(上場投資証券)の中で、株価指数が下がると逆に値上がりするインバース型(ベア型)のものを買うのだ。ETFとETNは仕組みに違いがあるが、買い手から見ればほとんど同じで、違いはETNのほうは償還期間があって、基本的に分配金はないということぐらいだろう。ともに株式と同様に売買でき、証券会社に払う信託報酬も普通の投資信託に比べて格安だ。1万円以下で買えるものも多い。
日経平均やTOPIXのような株価指数に連動するので、個別の株式より値動きは穏やかだ。だからリスクも小さいのだが、それでは物足りないという人もいよう。そういう人のために指数の2倍の動きをするインバース型も登場している。インバース型はすべてのカテゴリーのETF・ETNに用意されているわけではない。たとえば、業種別株価指数に連動するものにはない。円高が逆風になる電機とか自動車のインバース型を買おうとしても、そうはいかない。ところが、ETFは信用取引が可能なので、通常の業種別ETFをカラ売りするという手がある。
いずれにせよ、株価暴落時に泣きを見ないための準備は日頃から心がけておきたいものだ。
山田 洋
バックナンバー
新着ニュース
特別企画PR