社会
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欧米や日本など先進国の経済が低迷しているのを尻目に、ブラジル、ロシア、インド、中国、いわゆるBRICs諸国が目ざましい経済成長をとげたが、昨年途中から減速が始まった。インフレを抑えるために金融引き締め策をとらざるをえなかったところに、欧州債務危機が深刻化し、そのあおりを食らった形だ。世界中から流入していた投資資金も、リスクを恐れてBRICs諸国から逃避してしまい、上昇していた各国の株価もしぼんでしまった。
これでBRICs諸国がだめになってしまったわけではないが、世界の投資家たちは次の成長国探しに躍起になっている。そんな中でにわかに注目を集めているのがインドネシアだ。タイの洪水により日本企業の工場が生産停止に追い込まれたこともあって、インドネシアに生産拠点を移す自動車メーカーが続出しており、この動きは他業種でもさかんだ。
日本企業のインドネシア進出は1990年代にもあったが、97年~98年のアジア通貨危機で通貨ルピアが5分の1まで下落し、経済は急降下、日本企業も大火傷を負って撤退、中国やタイにシフトしていった。この危機を経て構造改革が進み、2000年代半ばには経済成長率が5%を上回るようになった。米国のサブプライムローンに端を発した2008年の世界金融以降もプラス成長を維持したのだ。
多くの日本人にとって、この国はバリ島ぐらいしかなじみがないが、知れば知るほど今後の発展への期待を抱かせられる。人口が2億4000万人で世界第4位、しかも24歳以下が44%を占める。国土は1万7500もの島々から成り、面積は192万平方キロ、日本の約5倍だ。インド洋のスマトラからニューギニアの西半分まで東西5000キロにおよび、これは米国と同じ長さ。石油、天然ガス、石炭などのエネルギー資源、そして海洋資源にも恵まれている。
ただ、インフラ整備の遅れが最大の問題で、首都のジャカルタでも道路、鉄道の現状は“世界一の移動困難都市”と呼ばれるほどだ。旺盛な電力需要に供給が追いつかず、停電はしばしば。水道の水は飲めない。インフラ整備への政府支出が少な過ぎたのが原因で早急の対策が求められる。
インドネシア証券取引所には400以上の銘柄が上場されており、昨年来の新興国株式市場の混乱に比べると着実な値動きを見せた。個人投資家がインドネシア株式を直接買うのは面倒な点があるが、同国の株式や債券を組み入れている投資信託が一昨年から相次いで売り出されていて、運用実績もよい。普通の投資信託と違って、小額資金で簡単に売買でき、手数料等の経費も安いので個人投資家に人気のETF(上場投資信託)も、いずれインドネシア株式版が登場するだろう。
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