ここは日本人であることに誇りを感じさせてくれる空間だ。

和の繊細さ、上質さ、古雅、そして艶やかさ、まさに和の美しさに魅了される。

その場所は先月末に生まれ変わった浦和ロイヤルパインズの５階日本料理「四季彩」。

特筆すべきは壁面と間仕切りに使われている「なぐり」という技法。

なぐりは数寄屋建築には欠かせないもので、角材や板の表面に道具での独特の削り後を残す日本古来からの伝統加工技術である。

機械では決して生み出せないその技術。今ではその職人も数少ないというまさに歴史と伝統が生み出す匠の技だ。

また椅子席の床には、それぞれの部屋に色鮮やかな「絞り染め」のカーペットが敷かれている。

一般席には藍色、１２名までの「梅」の部屋にはその名前を惹きたてる赤いカーペット、若草色の床の「松月」はそこにいるだけで春の訪れを感じさせてくれる優しい明るさに包まれていた。

その他、「桐」と「葵」の１０名までの個室は掘りごたつ式の畳の部屋で、それぞれが洗練された落ち着きのある空間だ。

今回のリニューアルでは個室需要への対応、最大３０名までの対応が可能となった。

また優しい店づくりとして、車いすのためのスロープを設けている他、車いすも準備されている。

企業が成功する秘訣とは、消費者のニーズに応えること、さらに独自性をどう打ち出すかである。とくにホテル業界は、顧客満足を高めることこそが稼働率をあげるものだ。

その意味では、今回のリニューアルは満足のいくものである。

ひとを惹き付けるものとは何か。ひとは上質なもの、美しいものに惹かれる。

和が生み出す伝統にふれ、美味なる食事を堪能しながら、至福の時を過ごす。

まさに上品な笑顔がこぼれる温もりの場所になりそうだ。

 ■浦和ロイヤルパインズホテル5階　日本料理「四季彩」

予約電話　048-827-1162 （直通）

リニューアル記念メニュー３月１日から３１日まで

☆リニューアル記念ランチ　早春の山菜と特選牛のすき焼きと九重弁当　2,980円

☆リニューアル記念ディナー　懐石寒桜～早春の山菜と蟹三昧　10,500円（どちらも料金は税サ別）

古城　智美