文芸広場
俳句・詩・小説・エッセイ等あなたの想いや作品をお寄せください。
木の中から声が聞こえる
円空はナタとノミだけ
腐れ木、捨て木を拾っては
斧で荒く切り取る
待ちかねたように声の主が現れる
様々な仏の姿である
その人にだけ聞こえる声がある
声の主は石の中にもいる
ミケランジェロは石の中からの声で声の主を掘り出した
荒野で人の声がしたが途絶えた
天からの答えは無かったが花弁のように舞う雪の
一つ一つの結晶の美しさは人技とは思えなかった
誰も声をかけないのに現れてくるものもいる
土の中から芽が出る
日々悪いことばかり続くこの世に
お見舞いのように野の花が咲く
黒い小枝の先が膨らみ
今日は散歩道の保育園の桜が満開
おお 庭先にも昨年と同じ白木蓮が来ている
何時もいつの間にか来て何時の間にか去る
美しいものはこの世のものでは無いので長居はしない
昼は鶏や雲と話し夜は月や星と話し三日程で地に帰る
短い一時を桜の下で遊んでる幼児たち
明日はみな顔のない大人になる
山上村人
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