トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 高校に入る前に親がしてはいけない82のこと 第1章 子育て方針のタブー(3)
教育クリエイター 秋田洋和論集
「もっと勉強しなさい!」と発破をかけている
中学時代に身につけた生活習慣は、子どもたちの今後の人生に大きな影響を与えます。なかでも重要なのが「時間感覚」です。
時間感覚は、高校、大学、そして社会人と、時を経るにしたがって重要度を増してきます。ですから、中学生のうちから少しずつ定着させていくのがよいでしょう。
たとえば、テストの成績が振るわない理由を、
勉強時間が不足していたから
などと思っていませんか。
小学生までの間だったら、「成績=勉強にかけた時間」が成り立つ側面がありました。漢字、九九、都道府県名や平野の名称などを覚えることが目的で、知識量・演習量がそのまま成績に比例していました。
しかし中学生になると、17ページで触れた通り、覚えるだけの勉強ではなく、考えることが必要になってきます。考える勉強は、当然ながらただの丸暗記より時間がかかります。それなのに部活動などに時間を取られることも多く、物理的に勉強時間を増やすことが困難になっていくのです。
だから中学生の勉強に必要なのは、「時間を増やす工夫」ではなく、「時間を短縮する工夫」です。だらだらと長時間机に向かうよりは、短時間で効率的に終わらせるほうがよいのです。
たとえば、「計算問題を十題を五分で解こう」という目標をもって、なんとなく時間を浪費する習慣を改めるのです。
スポーツにしても趣味にしても、確かに練習時間を増やすことで一定のレベルまでは上達します。ただし、それ以上になるためには、練習以外の要素のほうが重要になります。「時間を増やせばさらに結果が出る」という考えでは、疲労が蓄積して思わぬ怪我につながりかねません。
「もっと勉強しなさい!」ではなく、
「時間をつくりなさい」「時間を計りなさい」
へと、親の意識も変えていきたいものです。
「高校に入る前に親がしてはいけない82のこと」(PHP文庫)秋田洋和より