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文芸広場
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昨年、俳優の地井武男さんが亡くなり、「ちい散歩」という人気番組がなくなった。素朴な音楽と地井さんのやさしくてあたたかい人柄がにじみ出た素晴らしい番組だった。
「ちい散歩」が終わって次に始まったのが「若大将のゆうゆう散歩」だった。
地井さんがのんびり歩くのとは対象的に、若大将こと加山雄三は歩くのが速い。「ハッハッハッハッ」と感情の入っていないような笑いをしながら、通行人に手を振り歩いてゆく。話し方も上から目線で正直言って馴染めなかった。
しかし、見続けていくうち、なんとなく若大将のサッパリとした大らかな性格に好感を持ちはじめ、先日放映された別番組で、さらに若大将の魅力を見せつけられた。
もうずいぶん前だが、若大将がNHK紅白歌合戦の司会をつとめたとき、少年隊の「仮面舞踏会」という楽曲を紹介するところを「仮面ライダー!」と思い切って言ってしまい、小林旭さんにそっと注意されて初めて気付いた話には、ただただ笑ったが、奥様とのデートのエピソードも素敵だ。
初めてのデートでヨットに乗ったが、シケでヨットは大揺れ。しかし奥様は機嫌をそこねることなく、「きゃっきゃっ」とはしゃぎ、しばらくしたら下へ降りて行ってしまった。さすがに気分が悪くなったのかと行ってみると、うれしそうに「ステキなのができるのよ」と編み物をしていたという。なんて素敵な奥様!「もう決まりだ」と若大将は思ったそうだが、10代の少年にしてはきわだって人を見る目を持っていたことが拝察される。
極めつけは、経営にたずさわっていた茅ケ崎のパシフィックホテルが倒産した時のこと。数10億円の負債を必死に働き、10年程で完済した。インタビューで「大きな負債を抱えた当時は後悔しなかったですか?」と聞かれ、「全然。航海は海だけでいいよ」と余裕たっぷりに答えていた。
又、全く知らなかったのだが、日本人初のサーファーは若大将なのだそうだ。
う~ん、恐れ入りました。上から目線でももう文句は言いません。
76歳になった若大将、いつまでも色々な町をズカズカと歩きまわって下さい。そして、小さくまとまろうとする私達を笑いとばしてくださいね。
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