トップページ ≫ 社会 ≫ 総選挙特集/埼玉第9選挙区レポート②最後の一票までの激戦が続く
社会
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2009年衆議院議員総選挙も終盤戦へと突入し、各候補者とも最後の追い込みに余念がない。特に、前回クローズアップした埼玉9区(飯能市・狭山市・入間市・日高市・毛呂山町・越生町)は、同小選挙区から選出された大野松茂氏(自民党)が国政とのパイプを活かして13年越しで強固な保守王国を構築している上に、その地盤を引き継いだ大塚拓候補が大塚(旧姓・丸川)珠代参議院議員の夫であることからマスメディアからも注目され、民主党の圧倒的優勢が連日報じられる中においても最後の一票を削り合うような接戦が続いている。
都市部から山間部まで広範囲に渡る同選挙区の候補者には、強靱なフットワークが求められる。9区からは、大塚拓(自民)、いがらし文彦(民主)、各務正人(幸福)の3氏が立候補しているが、いずれも分刻みのスケジュールでの選挙運動を展開することになる。
公示前から街頭・駅前に立って有権者への語りかけを徹底してきた、いがらし文彦候補。26日夕刻にはヤオコー越生店前を訪れ、「日本の政治は、無駄遣いのオンパレード。国の借金が膨らむと円の信用がなくなり、1ヶ月の間に30%も物価の上がった国のようにヤオコーでの買い物すらできなくなる。私たちの生活を守り、さらに良くするために、皆様と共に政権交代を実現したい」と、庶民の視点を崩さずにわかりやすく訴えかけた。
買い物客ひとり一人と握手を交わしながら、「手応えは、非常に良いです。今まで反応の鈍かった若い女性層までが民主党の政策に興味を持ち、熱心にマニフェストを読んでくれています」と笑顔で語る、いがらし候補。政権交代への確かな期待感を感じているようだ。
対する自民党の大塚拓候補は、この日、午前中に有力支持団体への挨拶回りをこなし、山間部にある東吾野駅前にて午後の第一声を上げた。「山間地域での暮らしを良くするための課題は医療・介護だけでなく、携帯電話やインターネット回線が使えるためのインフラ整備など、山積みされている。これを解決できるのは、しっかりとした財源の裏付けを持つ自民党以外にありえない」と、山間部・都市部それぞれの課題から国政の基盤となる経済成長・安全保障まで歯切れの良い言葉で持論を展開し、他の小泉チルドレンとは一線を画す切れ味を発揮する。「正直、逆風と言われる中で、非常に厳しい闘いとなっています」と謙遜するが、定番となった珠代婦人の応援の姿とともに、着実に支持層を拡げている。
「埼玉9区には新興都市も限界集落も自衛隊基地もあり、まさに国政の縮図です」と大塚候補は語り、「この地区を制することができなければ、政権交代など程遠い」といがらし候補は自認する。ともに地域を愛しその課題も知り尽くした政策通同士が、争点の軸を今回の総選挙の象徴となっている<暮らし>と<実績>に置き、マスメディアの好奇の目とはかけ離れた高レベルなアピール合戦を続けている。
これはもはや、風頼みの選挙ではない。そもそも風自体が誰かが意図的に吹かせるものではなく、空気(人の意識)が一つの方向に向かい出した時に大きなうねりとなって派生するものである。真に風に乗る者とは、有権者ひとり一人の気持ちを能く捉えることのできる代弁者に他ならない。
政治の主役はあくまで国民であり、それを保障する制度として選挙は存在する。私たちひとり一人の声をしっかりと国政へと反映させるために、8月30日は是非、投票所へと足を運ばれたい。