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カラスには恐れるものがない
鎖の長さを知っているので
猛犬の傍まで来てはエサを失敬する
鷲類には敵わないが鷲類はほぼ絶滅種で市中には姿を見せない
仮に鷲の目に止まっても鷲は悪食の臭いカラスの肉は食わない
カラスが一目置くのは同族の尾長族であるが
これは少数派で何故かその数をさらに減らせている
カラスは鶯のように美しい声をもたず
目白のような愛らしさもなく
四季を通して喪服をきている
人にどのように思われようがまるで気にならない
人の世のベクトルを知っているので
悪いことをして何処が悪いと嗤っている
一族は地震にも津波にも山崩れにも動ずることはない
流石に長崎、広島の原子爆弾の被災時には
爆心地のカラスは人と共に死傷したと思われるが
福島の原発では人々の騒ぎを横目で見て
豊富なエサに満足している
カラスは日照りにも長雨にも乱世にも
生ける術に欠くことはない
弱った生き物を探し
死骸を探し
空を眺め一人詠嘆するようなことはない
それ故、保険や老後の貯えなど
その様なことで悩む人の悩みがない
雀のようにかすみ綱で採られる事はない
山鳥のように珍味ではないので猟銃の的にする人はいない
絶滅した阿呆鳥のようにお人よしではない
屋根で寝ている猫を追いかけ
街角でナマゴミの袋を食い破り
あらゆる鳥ウイルスには免疫で
近くの電線の上からゴミ収集車を見送っている
私はある時
繁華街の早朝ビルの屋上から
ビルの谷間のゴミ収集車を待つゴミ置き場を見た
ポリタンクとゴミ袋に蠢く生き物をみた
背を屈めたホームレスらしい人の回りを
猫のように肥大したネズミ達が走り廻っていたが
取り仕切っているのは7~8匹のカラスだった
見回したところ現在カラス族は
生態系の最上位にいる
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