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舞鶴女子高校生殺人事件
この事件では直接証拠はなく容疑者も否認している。その点和歌山カレー事件とよく似ている。違いは前者が直接的手段により後者は毒物という間接的手段によったこと。後者では一二審とも間接証拠(情況証拠)だけで有罪と認めた(最高裁判決は今日午後3時、本稿執筆時点ではまだわからない)。舞鶴事件では起訴し有罪判決を得るのにさほど困難はないと思う。ただ犯人に証拠隠滅の十分な猶予を与えたことが惜しまれる。
憲法は「自白だけで有罪としてはならない(第38条)」と規定するが、間接証拠だけで有罪とすることに憲法上問題はない。
ロス疑惑
いわゆる「ロス疑惑」では、妻殺害について一審では実行犯(殺し屋)を特定しないまま有罪とした。二審で無罪、最高裁で無罪が確定したのは、実行犯を特定せず殺人罪に問うことはできないとして証拠原則を厳格に適用したものであろう。妻殴打事件では実行犯を特定できたので有罪確定。
昨年2月三浦氏を逮捕したロス市警が新しい証拠をもっていたとは思えないが、アメリカの司法実務では情況証拠だけで有罪とする自信があったのだろう。もっとも実際に裁判になれば殺人罪の時効をなくした法律を遡って適用できるかという入り口論で決着がついた可能性がある。いずれにしろ三浦氏の死ですべては闇に葬られた(実行犯はまだどこかに生きているかもしれない)。
小沢党首秘書の「政治資金規正法」違反事件
先月3日、民主党小沢党首の秘書が政治資金規正法違反で逮捕されたが「あの程度の金額の形式犯で逮捕とは」と永田町では驚きをもって受け止められた。恐らくあれは別件逮捕であって、本命は「あっせん利得罪」であったのだろう。検察が起訴時点でわざわざ「政治資金規正法」違反の重大性を強調したのは、別件逮捕ではなかったと言いたかったのだろう。語るに落ちたと言うべし。司法関係者の間では、本件起訴に至らなかったのは検察の失態と受け止められている。
痴漢無罪判決
今月14日最高裁で某大学教授の痴漢事件逆転無罪判決がでた。この判決にはいくつか興味そそそられる。
一般に事実認定が疑わしい場合、最高裁は原審に差し戻すことが多いが、ここでは直接逆転無罪を認定した。
痴漢事件では物証はなく、目撃証人もないのが普通で、被害者の証言だけで有罪とされることが多い。ここに傷害事件とは異なる痴漢事件の特殊性がある。
この最高裁判決でも、被害者の証言だけで有罪とすることを否定しているわけではなく、証言内容の信憑性はよほど慎重に判断する必要があると言っている。本件では証言の信憑性が疑わしいから無罪として「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則を貫いた。
脱税事件(一般論)
悪質な所得隠しは別として、費用と認められるかどうかなど単なる税務当局との見解の相違である場合もあるから、報道関係者は税務当局や検察の言い分を鵜呑みにしてはならない。
(ジャーナリスト 青木 亮)