トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 品格ある子どもの育て方第三章 「中学受験」で品格をどう身につけさせるか(37)
教育クリエイター 秋田洋和論集
自分の経験をすべて正しいと思うな
~一番変わったもの、それは通知表だ~
そろそろみなさんが、この手の親に該当するのかしないのか、つかめてきたと思います。「私は(俺は)こんな親じゃないよ」と思っているみなさん。みなさんの常識が現代の非常識になっていないかどうか、もう少し一緒に点検してみましょう。
お父さん、お母さんの中には毎年ほぼ一定の比率で、「学校の通知表がオール5=ウチの子はよくできて優秀」と思い込んでいる方がいます。
そして中学受験や難関私立高校受験など、通知表なんて見ない実力一発勝負の学校を希望しているにもかかわらず、受験校確認の際には「通信簿がオール5なのにどうして落ちる可能性があるんですか?いったいどんな指導をしているのですか」と逆ギレされそうな勢いで責められることがあります。はたして通知表でオール5は、現在でも優秀生の証なのでしょうか。
現在の公立中学校では、極論を言うとテストがすべて100点でも評価が5にならないことがあります。実例を挙げると、
「A君は勉強ができるのだから、もっと他の子に教えてあげるなどの積極性がほしかった。それがないので5はあげられない」
これは、かつて私が教えていた生徒(の母)が、テストが100点だったのに5がつかなかった理由として、実際に学校の先生に言われた一言です。これが現在の評価システムなのです。
私は冗談めかして保護者会でいつも言うのですが、
「ペーパーテストが悪くても、提出物をきちんと出して、カラフルで見やすいノートを作って、いつも授業中はまじめ(なふりをして)、いつもニコニコであれば5をもらえますよ。ただし、内申書を見ないと公言している学校は『この手の生徒はいらない』わけです。求めている価値観が違っているので混同しないようにしてください」
一般的にいわゆる進学校は、公立・私立問わずこのような生徒を望んではいません。公立高校でさえ内申を見ない枠を設けて、学力のみの選抜を行っているところもあるのです。
新学習指導要領に合わせ、2002年から学習到達度を見る絶対評価が導入されました。そのため、昔の相対評価であれば「5は7%」「4は・・・・・」という具合に決まっていたものが、現在は極端な場合「全員5」だって理論上はありえるわけです。5教科オール5でも偏差値50に満たない生徒がいる、これが現実なのです。
品格ある子どもの要素として、当然ながら学力を入れないわけにはいきません。また勉強さえできればいいと言う気も当然ながらありません。少なくとも言えることは、
「品格ある子どもに育てたければ、現在の子どもの教育環境をよく研究しておくこと」は不可欠の条件だ、ということです。現在の教育環境については、この後第4章でも触れますが、親の視点として、
「木を見て森を見ず」
ではダメなのです。お父さん、お母さん、これでもまだ「昔は・・・・・だった」で、自分の体験を押し通しますか?
「品格ある子どもの育て方(PHP文庫) 秋田洋和著」より
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